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着ぐるみ55-連れ歩き

  ちょっとした諍いがあって、「酒飲み勝負して勝った方が言う事を聞かせる」と言う勝負をしてしまった。

  別に酒に弱い訳ではないが、彼女は格段に強くて、夕方から飲み始めて、夜が更ける頃には決着が付いてしまった……俺の負けである。

  後日彼女に呼び出された。街中の漫画喫茶だ。

  「いいから着替えて」

  そう言われたのは、美少女着ぐるみ一式である。

  「まさか?」

  「ここまで来て、まさかも何もないでしょう」

  彼女は用意周到で、俺のサイズに合わせたタイツだの補正具だのを準備していた。

  「絶対可愛くなるから!」

  満面の笑みが怖い。

  「俺はこんなの着ないぞ!」

  「証人がこんなにもいるのに?」

  早朝にもかかわらず、飲み会に参加した男女の友達が外で待っている。

  「全裸になって」

  そう言われ、「おい、ふざけるなよ」と言ったが、「ここで何もせずに出て行ったら、みんなからハブられるよ」と脅された。

  乳首に小さな電極を貼られた。そして、仙骨にも貼られ、アナルにも電極を挿入された。

  流石に初めての事なのだが、彼女は初めての事ではないようである。ローションを使ってとろとろにされる。

  「こ、これは罰ゲームなのか?」

  「罰ゲームに決まってるでしょ」

  彼女は静かな落ち着いた声で、まるで事務作業をしているように答えた。

  ケーブルを身体にテープで固定して、着ぐるみの着付けに入る。

  ウェストニッパーを使ってウェストを締め上げる。次に肌タイツに足を通し、太股のパットを仕込みながら股間まで上げる。

  タイツは少し固めで身体全体がぎゅっと締まる感じがする。

  ベスト状になってる部分に袖を通し、ファスナーを閉める。両腕を通してシリコンのおっぱいを詰める。

  顔までタイツを被ってファスナーを閉める。

  それから下着を着せられる。黒いセクシーな奴だった。

  ニーハイソックスを穿き、かなり凝った作りのゴスロリを着せられた。あとはネックレスと編み上げブーツを履いたら面を被るばかりだ。

  「おい、本気か?」

  最後の最後に抵抗するが、「みんな見たがってるし仕方ないでしょう?」と涼しい顔をされた。

  お面を被るとそそくさと後ろに回り、カチリと鍵を閉められた。

  「マジかよ」

  「当たり前でしょ。逃げられたら困るもの」

  そう言って、ポーチの中に収められた電源に配線を繋いでいった。

  「テストで流すよ」

  彼女がそう言うと、間髪を入れずに電極に電気が流れた。

  「ギギギ!」

  歯を食いしばった。

  「喋ったら駄目よ」

  彼女が電気を止めてそう言った。

  「おい待て!」

  そう言うと、再び電流が目一杯の出力で流れた。

  「くっくぅ!」

  「喋ったら駄目よ。あなた小さいから、黙って居れば女の子なんだから」

  低身長をこんなに悔やんだときはなかった。

  ルールはこうだ。

  彼女が気に入らないと思ったら電流を流される。

  ポーチは鍵が掛かっているし、電源コードはかなり丈夫だそうだ。何か抵抗すれば、電気が流れる。

  さっきの電流は目一杯だと思ったら、まだ二割だと言う。

  逃げても無駄で、電波は五百メートルぐらい届くという。それに、電波が途切れたらランダムな出力で電流が流れる。歩いて逃げるのは無理だと笑う。

  二十四時間頑張ったら許して貰えるらしい。

  表に出ると、友達ががやがやと群がって喜んでいる。

  自撮りをしたり集合写真を撮ったりと、ちょっとした有名人みたいだ。

  まだ朝は早いので、人通りが少ない。早めに開く店の店員だの会社員だのが通勤していると言う感じか。

  あまり関わろうとはしていないが、チラチラと見られていたと思う。

  今日は日曜日なので、繁華街には人が集まるだろう。

  この街はコスプレに寛容なので、コスプレイヤーやメイドなどが平然と闊歩している。

  なので、店内に入ろうとしなければ誰に咎められることもない。

  写真屋動画を撮っていた友達は方々に散っていった。

  それと共に、街は活気が高まっていく。

  人通りが増えてきて、ちょくちょく「可愛い」と言われ、また同じぐらいの数「キモイ」「怖い」と言われた。

  気を抜いた歩き方をすると、ピリピリと電気が流れる。

  がに股で歩こうものならどうなることか。

  戦々恐々としながら、背筋を伸ばし、内股を心がけて歩く。

  腕はなるべく内側に巻き込むように振るし、手を振るときは肘から上を動かさないようにする。

  写真でポーズを取るときは、首を傾げたりする。

  全て、人が増える前に強要されたことだ。

  窓ガラスに写る姿は確かに可愛かった。

  「今の可愛いよ」「あぁ、素敵だよ」

  彼女はちょいちょい褒めてくる。

  カメラを持った観光客も「可愛い!」と喜んでいる。

  ここまで来て、男とばれるのも恥ずかしい。

  なおも頑張って可愛いフリをしなくちゃならない。

  そうこうしていると、人通りの多い一角で「ちょっと待ってて」とその場を離れたのだ。

  ああ、これ絶対に監視しているなと分かったが、しかし逆らうわけにはいかなかった。

  色々な人が通り過ぎる。適当に無視していると、電流がビリッと流れた。危うく声を出しそうになる。

  行き交う人々、興味がある人には愛想を振りまかないといけない。

  子供が来たら腰を下ろして対応する。

  少し気が抜けるとまた電流が流れた。

  どれほど待たされただろうか、やっと彼女が戻ってきた。

  「お疲れ様」

  ついつい気を抜いて電流を流される。

  彼女が目の前にいたので、ぐっと掴んでしまう。

  「大丈夫?」

  そう言いつつ、何かを操作している風ではなかった。

  「本当に大丈夫?」

  尋ねているが、口元は笑っている。誰か協力者が操作しているのだろう。

  「少し歩こう」

  彼女が手を繋いで歩き出す。

  電流で頭が真っ白になりそうだ。ぐっと手を握ってなんとか意識を保つ。

  それから長いこと掛かったと思う。電流が弱まったか、慣れたかしたのだ。

  姿勢を保ちつつ、女の子に思われるように気をつける。

  そして、場所を変えたところでまた「ちょっと待ってて」と彼女が離れる。

  電流は流れているが、多分もう大丈夫だ。

  気持ちを抑えるようにしている。

  そこにメイド二人組が現われた。

  「可愛いですねぇ。ちょっとお店に来ませんか?」

  俺は身振り手振りで拒否するけど、「えー、喋れないんですか?」と理解を示しつつ、「ちょっとだからいいじゃないですか?」と強引に引っ張ろうとしてくる。

  その時に少し力強く手を引こうとすると、電流が一段と強くなる。

  意識が遠のきそうになると、メイドは引っ張って行く。

  よく見ると、二人とも可愛いし、ちょっと好みの顔であった。そのまま雑居ビルの五階に連行される。

  見た目は地味な扉の向こうは、実に雑居ビルの五階にありそうなコンカフェだった。

  「おかえりなさいませ」

  中には一人のメイドがいたが、客は一人もいなかった。

  「可愛い子連れてきた-」

  最初の二人のうち、一人のメイドが笑っている。

  「へぇ」

  店にいたメイドは二人より少し年上のようで、品定めするような目つきだった。

  「ここってどうなってるのかなぁ」

  スカートを捲ろうとする手を払おうとすると電気が強くなる。ここも監視されているのか!

  もはやここまで来ると、言葉を発しない事が目的になっていて、身体の震えを止める術はなかった。

  姉御肌のメイドは、再びスカートをご開帳なさった。

  「案外おおきいのね」

  微笑みつつ、指でその辺りを撫で回した。

  もう一人のメイドが後ろから抱きついて「可愛い」と頬ずりしている。

  電流は激しく、そしてリズミカルになるばかりだ。

  「貴方のを触るだけじゃぁ悪いから、私のも触る?」

  もう、頭は真っ白で成り行きに任していた。

  確かに、目の前のメイドは巨乳だった。

  「もっと触ってぇ」

  いやらしい声が頭の中に響く。

  「気持ちいいんでしょう?」

  後ろの子はおちんちんをちろちろといじっている。

  「ほら、女の子になっちゃったら?」

  言葉責めが甘美な声で続いている。

  意識が途切れたのだろうか、何か一線を越えたところで、身体の震えが止まらなくなった。

  気持ちいい!

  快感が脳天を突き破った。

  それからは別次元の世界に入っていった気がする。

  それから、メイドにもみくちゃにされて、そして、外に出された。

  記憶は曖昧だが、脳味噌の中がピンクになりながら、元の場所に戻った。

  愛想を振りまき、写真の相手をする。

  彼女が戻ってきた。

  快感は一度落ち着いたと思われた。だが、本当だろうか? 電流が収まっているように思える。

  それからも可愛さを褒めてくれるし、手を繋いで歩いてくれる。

  違う安心感が訪れる。

  そうしたら、何故か電流もなしに頭の中が多幸感で一杯になり、再び意識が不明瞭になる。

  気付いたらホテルにいた。

  服を脱いだ私を彼女が抱いていて、そして満ち足りた雰囲気になっている。

  ああ、女の子になっちゃったんだなと思った。

  全てが仕組まれているのは間違いないけど、この状態は全てが完璧だった。あるべき所にある気がした。

  それから殆ど、着ぐるみで生活することになったけれど、それはまた別の話だ。

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