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【160】ボサ髪からの助言。

  流れが留まる事の無い激流のように、言葉を連ね続けたボサ髪。

  その内容を暫し頭の中で整理して、導き出した答えを少々自信なく口にした。

  「・・要約すると、私が魔力保有力を伸ばして多量の魔力を使えるようになった事が知られるのは良くない、という事だな?元々の魔力保有量が多かった、という事にすれば問題ない。と・・」

  「それで合ってる。けど、あの最後の魔法は男が行使するには威力が高すぎる。これからも使うつもりなら、言い訳用にそれらしい魔術陣を用意することを薦める」

  「分かった。助言感謝する。魔術陣については知人に相談するとしよう」

  「そう。もし魔術陣の事で手助けが必要になったら、いつでも声をかけて良い」

  そんな風に言いつつも、『必要なくとも声を掛けろ』と圧の籠った目を向けてくるボサ髪。

  魔法に対する執念じみたその態度に苦笑して、「分かった」と頷き続ける。

  「では、次はそちらの話を聞かせてもらおうか」

  「わたし?何が知りたい?」

  僅かに首を傾げて問うボサ髪に「答えられる範囲で良いのだが」と前置きして言った。

  「まず、手合わせ時の最初一手についてだ。魔法の詠唱は無かったように思うのだが、どのようにして発動した魔法だったのかと思ってな」

  「あれは魔石に秘密の素材で魔法を封じ込めた物を使った。使い方も秘密だけど、使い捨てで不意打ちなんかに重宝する」

  「成程・・そのような方法があるとは知らなかった」

  「当然。アドみたいに魔力保有量が多い人には無用な知識」

  淡々と答えたボサ髪に「いや。知識に無用な物はないだろう」と頭を振って続ける。

  「ありとあらゆる経験や知識は、いつかどこかで必ずその身を助けると、私は思う」

  事実。[[rb:理 > ことわり]]の中での事ではあるが、私は異世界の内では常識である知識を得た事で魔法を使えるようになった。

  今回のボサ髪から得た情報も、知り得る前と後とでは対応が違ってくるだろう。

  私の話を聞き、ボサ髪は数度瞬いた後で「それは確かに」と頷いた。

  「わたしにとって魔法の知識は財宝にも勝る大切な財産。アド、良い事を言う」

  半精霊の背の上で[[rb:杖 > スタッフ]]を軽く掲げるボサ髪の顔は、無表情ながらもどこか誇らしげだ。

  しかし、急に何かを思い出したように輝いていた瞳を曇らせる。

  「・・さっき、突き放した言葉は取り消す。アドの魔力保有量が多いのが羨ましくて八つ当たりした。ごめん」

  突然の謝罪に困惑して「どの発言のことだ?」と首を傾げると、ボサ髪は僅かに目を見開いて首を振った。

  「気にしてないなら、いい。・・・・それで、後は何を知りたい?」

  少しばかり気にはなったものの、僅かに微笑んだ気がするボサ髪に促され魔法の詠唱についての疑問を口にする。

  「そうか?ならば、詠唱について聞きたい。私の周りでは今まで詠唱する者が殆どいなかったのでな。魔法を行使する際、詠唱する事でどういった結果が伴うのかが知りたい」

  「・・・その質問で解った。アドは魔法についての知識が足りてない・・というより、偏ってる」

  溜め息を吐いてそう断言したボサ髪に「そうらしいな」と首肯すると、視線に呆れを乗せて続けられた。

  「なら、詠唱より先に魔法の基本から話した方が良さそう」

  「それは助かる!頼めるか?」

  「分かった。じゃあ町に着くまで教える」

  そうして、ボサ髪は町の門に着くまで魔法を基礎から語るのだった。

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