電子怪獣・ガチャゴン登場!?

  「うーん……。なかなか良いの出ないな……。」

  深夜2時頃。1人の中学生の男の子が、ベッドの中で不満げな表情を浮かべていた。

  彼が見つめる先にあるスマホの画面には、大量のキャラクターのアイコンと共に『C』という文字が無数に並んでいる。

  彼の名前は『黄河 千秋(こうが ちあき)』。

  今人気のスマホゲームに絶賛どハマり中の物静かな男の子だ。

  「まあいいや……。またダンジョン巡って、石集めよ……。」

  そう言いながらガチャの表示画面を閉じ、再度ダンジョンに挑む千秋。

  そんな彼のスマホに何かが入り込んだのに、彼が気がつくことはなかった。

  そして1時間後。

  「イベントもあったし、けっこーすぐに石集まったな…。一回引いて今日は寝よ……。」

  ようやく石が集まったため、少し上機嫌で再度ガチャを回す。

  そこで彼は奇妙なものを目にする。

  「……ん?見たことない演出。もしかして……いいの来るかも……。」

  キュインキュイン!!!と派手な音を鳴らし、今まで彼が見たことが無いような演出がガチャの画面を彩る。

  凄いモンスターが来るかもしれない、そう期待を寄せる彼だったが……

  「え……卵……?」

  その結果に、彼は抜けた声を上げる。

  それもそのはず。ド派手な大型モンスターが来ると期待していた彼の目の前に現れたのは、妙な卵だったからだ。

  しかも名前部分がバグっているようで読み取ることができない。

  そのあまりにも奇妙だが拍子抜けした結果に、彼は首を傾げた。

  「なにこれ、ひょっとして隠しキャラ……?でも卵じゃ戦えないしなぁ……。」

  そう呟いてようやくスマホの画面を閉じようとした、その時だった。

  パアァァァァァァァァァッ!!!

  「ひゃっ!?まっ、眩し………」

  彼の身体を、眩い光が包み込んだ。

  [newpage]

  「ふわぁーーー。寝みぃ……。」

  「なんだ、昨日夜更かしでもしたのか?」

  翌日。中学生の男の子である『大崎 竜牙』の放った大きな欠伸に、友人の『長谷川 羽流』は呆れたように呟いた。

  「いや、昨日インストールした『ドラダン』が面白くってさー。というか俺よりバグラがハマっちまって寝かせてくれなかったぜ。」

  「あー、あれ面白いからね〜。」

  「ドラダン?何それ?」

  2人の会話に、同じクラスの『手塚 彪斗』と『秋守 昇太』も混じる。

  そんな彼等に対し、何故か自慢げに竜牙は答えた。

  「『ドラゴンズ・ダンジョン』!モンスター達を仲間に入れて、ダンジョンを攻略していく今大人気のスマホゲーなんだぜ‼︎」

  「なんでお前が自慢げなんだよ。そんなことより、バグラなんて気にせずさっさと寝ればよかっただろ。」

  「アイツゲーム中ずっと『むおー』とか『ぐわー』とかうるさくて眠れないんだよ!それに……」

  「それに?」

  「お、俺アイツいないと眠れないし……」

  そう言うと、竜牙は恥ずかしそうに顔を赤らめた。

  「……?どういうこと?」

  「えっと、その……」

  「コイツは我を抱かねば眠れんのだ。全く、毎晩毎晩苦しいくらいに力強く抱きおって。」

  「なっ!?ちょっ、バグラ!?」

  すると竜牙の鞄の中から、眠そうな目を擦りながらぬいぐるみの怪獣が話しかけてきた。

  彼は『バグラ』。宇宙から飛来してきた生命体で、現在は竜牙の家に居候中である。

  竜牙達はこのバグラのような怪獣と融合し、巨大な怪獣となることができるのだ。

  「お前俺の秘密バラすなっての!!!はっ、恥ずかしいだろ!?」

  「はあ……。お前まだそんな子供みたいな寝方してるのか。」

  「あはは〜。けっこー竜牙も可愛いとこあるんだね〜。」

  「そうは言っているが羽流に彪斗、貴様らの胸の辺りからもモスガやガドンの匂いが強くするぞ?」

  「なっ、なんでそんなことっ!?い、いや、俺のモスガは甘えん坊だから仕方なく一緒に寝てやってるだけで!!!」

  「あー、俺のガドン湯たんぽ機能に冷房機能、リラックス機能にアラーム機能まで付いてるからさー。けっこー抱いて寝ると快適なんだよね〜。」

  「あはは……。みんな相棒怪獣と仲良いんだね……。」

  そう各々話す彼等を微笑ましそうに見る昇太。

  そんないつも通りの朝の教室に、ガラガラ……と音を立てて更に1人の生徒が登校してきた……のだが。

  「どっ、どうした千秋!?なんか目の隈すごいぞ!?」

  「ん……?あ、竜牙くん達、おはよ……。」

  教室に入ってきた千秋に、竜牙達は少し目を大きくする。

  そんな彼の目の下には、まるで狸のように濃い隈ができていた。

  「酷いな……。体調とか大丈夫?具合も悪そうだし、保健室に行った方が……」

  「ん……そんなんじゃないけど……。」

  「あ〜、さては千秋もドラダンで徹夜してたの〜?」

  「えっと……ま、そんなとこ……。」

  それだけ呟いて千秋はさっさと自分の席に着いてしまう。

  それを聞いた竜牙達は一安心して会話を続けるのだったが、昇太だけは少し不安そうに彼を見つめていた。

  [newpage]

  そして時は経ち、放課後。

  「ちょっと大丈夫?なんかフラフラしてるけど。」

  「ん……。だいじょーぶ……。」

  千鳥足で帰宅しようとしていた千秋に、クラスの委員長であり竜牙達の怪獣仲間である『亀宮 渚』が心配そうに話しかけていた。

  「あまり無理しない方がいいよ。僕達が家まで送ろうか?」

  「あー……。それじゃ、お願いしようかな……。ありがと……。」

  「それじゃあ私達、千秋君送って帰るから。またね〜!」

  「ああ。委員長もまた明日な〜!」

  そう竜牙に手を振られ、昇太と渚は千秋を抱えて帰っていった。

  「ねえ竜牙くん。千秋くん、ひょっとして怪獣に取り憑かれてるってことは無いかな……。」

  そんな彼を見送りながら、気弱な男の子であり怪獣仲間の1人である『葉隠 貫太』は心配そうに竜牙達に話しかける。

  それを聞き、竜牙達は表情をこわばらせた。

  「ほら、ぼくがブンブクに取り憑かれてる時変な雰囲気だったらしいし、もしかしたら千秋くんも……。」

  「確かに……。どうなんだ、バグラ?」

  『心配は無用だ。奴からは怪獣の気配は感じん。』

  「ということは、アイツはただ寝不足なだけか。」

  そう羽流が言うと、一同は安心したように胸を撫で下ろした。

  「ごっ、ごめんみんな!ぼく、考えすぎちゃって……!」

  「別にいいんじゃな〜い?本当に何かあったら面倒だし、警戒は大切だよね〜。」

  「お前ののんびり口調で言われると全く説得力が無いな。」

  「え〜、酷いな〜。俺、これでも色々考えてるんだよ〜?」

  安心感からか笑う一同だったが、彼等の知らぬ間に刻一刻と恐るべき事態に近づいているのだった。

  [newpage]

  「ちょっと本当に大丈夫?眠った方がいいんじゃない?」

  「ん……大丈夫。……ていうか、寝たら駄目な気がする……」

  「……?どういうこと?」

  「んー……わかんない。でも……なんか寝たらマズイことになる気がする……。」

  眠そうにうつらうつらと首を揺らしながらもそう話す千秋に、2人は首を傾げた。

  「多分道端とか学校とかで寝たら大変、ってだけじゃない?よかったら私おぶってくから眠りなよ。」

  「お、おぶってくって渚さん……。」

  「確かにそうかも……。お願い……。」

  渚の一言に困惑する昇太だったが、千秋はあまりの眠さ故にためらいなく彼女の背中によりかかり、即座にすうすうと寝息を立て始めた。

  「その、異性背負ってくの抵抗とかない……?というかそもそも重くない?」

  「だいじょーぶ!お願い、ガメス!」

  「こっ、ここで変身するのか!?全く、仕方ないのぉ……。」

  そう言うと渚の鞄から亀のような怪獣ぬいぐるみが顔を出し、彼女と融合していく。

  そして……

  「ガメエェェェェェェ!!!」

  華奢な女子中学生だった渚の身体は、みるみるうちにゴツゴツとした亀怪獣『ガメス』のものへと変化していった。

  「ちょっ、もしかしてこれで背負ってくつもり!?」

  「だってこの姿の方が力持ちだし!この辺はあまり人通り無いから大丈夫だよっ!」

  『お主、さては街中で怪獣になりたいだけじゃな……?』

  自身の中にいるガメスに呆れられながらも、ガメスと化した渚は昇太と共に人気のない通りを千秋と背負って歩き出した。

  しかし……

  「なっ……なんか急に重くなったんだけど……!?」

  しばらく歩いていると、渚が急に苦しそうに呟いた。

  「どっ、どういうこと!?ガメスの身体なら、彼の身体を背負うことくらい楽勝なはず……じゃ!?」

  そう言って彼女の背中を見た昇太は驚愕のあまり目を見開いた。

  彼の身体は、渚の背中の上で変化を初めていたのだ。

  手足はずんぐりと太くなっていき、服を裂きながら腹もぼよんっ‼︎と大きくなる。

  顔は前に迫り出してお尻の上からは長く太い尻尾も生えて、背中からは翼も生えだす。

  その身体は白と黄色に染まっていき……

  あっという間に、彼は黄色いドラゴンのような姿へと変貌してしまった。

  「うわあっ!?どっ、どうして千秋君が!?」

  『おかしい……!ワシは怪獣の寄生している気配など察知できなかったぞ!?』

  「とっ、とにかく僕も変身して……」

  そう言うと、昇太は変身アイテムを操作しようと取り出す。

  しかし……

  「あっ……」

  バクン!!!

  「きゃあっ!?」

  なんと昇太は、熟睡中の千秋に食べられ丸呑みされてしまった。

  

  「うーん……。もっと……。もっと食べて、ガチャ引かないと……。」

  狼狽える渚をよそに彼は昇太をゴクンと呑み込み、うわごとのように呟くとズシン、ズシンと街の方へと歩いていった。

  [newpage]

  「なあ、お前はブンブクと眠る時どうしてるんだ?」

  「えっ?ぼ、僕はその……毎晩ぎゅっと抱きしめて一緒に寝てるかな……。」

  「あはは、委員長もそんなこと言ってたし、みんな甘えん坊なんだね〜。」

  「お前もその甘えん坊のうちの1人だろうが。」

  昇太と渚が千秋を送っていった後、残された竜牙達4人は談笑しながら帰っていた。

  そこに……

  「おっ、大崎君っ!!!大変!!!大変なのおぉぉぉ!!!」

  「いっ、委員長!?っていうかなんでガメスに!?」

  ズシンズシン!!!と大きな音を立てて、ガメスの姿となった委員長が巨体を揺らして駆け寄ってきた。

  「あっ、あのねっ!千秋君が怪獣に寄生されてて!それで昇太君が食べられちゃって!!!」

  「おっ、落ち着けよ委員長……。」

  渚はガメスの身体で竜牙の肩を力強く掴み、ぐわんぐわんと揺らしながら必死に語った。

  「というかあいつが怪獣に……!?それならバグラが教えてくれたはずだけど……。」

  「いや、我もそんな気配など感じなかった。こんなこと、我にも初めてだ。」

  「それに、昇太も食べられちゃったんでしょ〜。なんかマズくな〜い……?」

  「とっ、とにかく行ってみようよ!町の人達……危ないかも。」

  そう言って頷くと、彼等は千秋が消えていった町の方へと駆け出した。

  [newpage]

  「うわぁぁぁぁぁぁっ!?」

  「嫌あぁぁぁぁぁぁっ!?」

  竜牙達が千秋の元へ辿り着くと、そこでは怪獣と化した彼が何人もの人間を呑み込んでいた。

  「なっ!?あれが千秋なのか!?」

  「うんっ!とにかく、今すぐに止めないと‼︎」

  そう言って竜牙達が変身するために相棒怪獣と融合しようとした時、千秋の顔がこちらを向いた。

  「あはっ……♡またガチャの素材見つけた……♡」

  そう言って彼がドスドス接近してくるので竜牙達は変身を続行しようと身構えたが、ふと途中でピタリと動きを止めた。

  「……ふーん。君達、ボスキャラか……。それなら、ボスを倒すために、ガチャ引かなきゃ……。」

  そう言うと彼は突如としてその場で顔を真っ赤にし、力み出した。

  突然のことに呆気に取られる竜牙達だったが、そんなことはお構いなしに彼は力を込め続け……

  「んはあっ♡♡♡」

  ゴロゴロゴロッ!!!とガチャのカプセルのような卵を幾つも産み出した。

  その卵はすぐさまパカっと開き……

  「ピュケケケケケケケケ!!!」

  「グルルルルルルルルル!!!」

  「キュキュキュキュキュ!!!」

  光と共に、何体ものモンスターが生まれてきた。

  彼等の身体には『C』や『R』などの文字が刻み込まれ、セーラー服のようなものを身に纏った鳥のモンスター、学ランのような素材の端切れを腰に巻いた狼タウルのモンスター、ランドセルを背負った二足歩行のイルカ型モンスターなどなど、様々なモンスターが竜牙達に襲いかかってきた。

  「なっ、なんなんだコイツ等!?」

  「きっとさ〜。呑み込まれた人達が変えられたんじゃないの〜?」

  「だっ、だったら助けないと!変身しようよ‼︎」

  「ああ!来い、バグラ!!!」

  そう叫んで渚以外の残された4人は一斉に相棒怪獣と融合する。

  彼等の身体はそれぞれ太く、大きくなっていき、そして……

  「ギャアァァァァァァッス!!!」

  「シュシュシュシュシュ!!!」

  「グオォォォォォォンッ!!!」

  「ポンポコポーン!!!」

  千秋や彼の産み出したモンスターの前には、暴食怪獣『バグラ』、毒蛾怪獣『モスガ』、機械怪獣『ガドン』、化狸怪獣『ブンブク』、そしてガメスの5体もの怪獣が並び立った。

  「ギャアッス!!!」

  ブンッ!!!

  「グルウッ!?」

  5体の怪獣達は、一般市民達が変えられてしまった大量のモンスター達を次々と難なく撃破していく。

  しかし……

  「まだまだ……んひっ♡」

  ゴロンッ!

  「ウニャアァァァァァァ!!!」

  「ワオーーーン!!!」

  次々と千秋は卵を産んでいき、そのたびにモンスターに変えられた町の人達が襲いかかってくる。

  一体一体は弱く簡単に倒せるものの、そのあまりの数に流石の竜牙達もヘトヘトになっていた。

  「シュシュッ!?コイツ等、キリがない……‼︎」

  「グオォォォ……。流石のおれももーヘトヘト……。」

  「ガメエッ‼︎そこ、弱音吐かない‼︎」

  「ポン……。うう、ぼくのブンブクはあまり戦闘向きじゃないのに……。」

  モンスター達の数の猛攻に疲労する竜牙達。

  しかし、その時は急に訪れた。

  「……あれ?モンスター打ち止めか?」

  『気を抜くな竜牙。あやつ、何か様子がおかしい。』

  突然、千秋の産卵がピタリと止まった。

  モンスターを全て出し切ったのか、と彼の方を見る竜牙達だったが……

  「……激レアがくる。」

  千秋はたった一言、息を荒げながらそう呟いた。

  そして今まで以上に力むと、そのお腹は虹色に輝きだし……

  「ん……っ♡くる……くるっ……♡んはあぁぁぁぁぁぁっ♡♡♡」

  ずりゅんっ♡♡♡

  喘ぎ声を上げながら今までとは明らかに雰囲気の違う虹色の卵を産み、そのまま気絶してしまった。

  [newpage]

  「激レア……?この卵、確かになんか違うな……。」

  「……っていうか千秋くん気絶しちゃったね。大丈夫なのかな……。」

  そう口々に言いながら千秋が産んだ卵を見つめる一同。

  するとそれはすぐにパカっ……と開き……

  「う、うーん……?」

  「し、昇太!?」

  すると中から、先程呑み込まれた昇太が溶岩怪獣『ボルグ』の姿となって現れた。

  その身体には、『SSR』と刻印が刻まれている。

  「ひゃっ!?なっ、なんで僕この姿になってるの!?そうか、僕さっき千秋君に呑み込まれて……」

  「ガメエェェェ‼︎秋守君、無事でよかったぁぁぁ‼︎」

  「大袈裟だぞ委員長。そんなことより他の人達と違って意識も保ててるのか?変身デバイスの影響か……?」

  「まーともかく、これで一件落着〜……ってこと〜?」

  「一件落着だと?まだだ、むしろこれからだろうが。」

  昇太が戻ってきたことによる安心感から気を緩める一同であったが、そんな彼等の後ろで気絶していたはずの千秋が起き上がる。

  しかしその声や口調は全くの別人のものであり、目元には電子的なバイザーが装着されそこには吊り上がった目のようなものが浮かび上がっていた。

  [uploadedimage:18243216]

  「おっ、お前!?さては、お前が千秋に取り憑いた怪獣だな!?」

  「ああ。俺様は電子怪獣『ガチャゴン』。ククク、ようやくコイツをハッキングできたぜ。」

  『ガチャゴン……‼︎電脳空間に潜み、そこを経由して他の生物を乗っ取る怪獣だ。なるほど、我が怪獣の気配を察知できなかったのはそのためか。』

  ガチャゴンと名乗った千秋に寄生していた怪獣を前に、竜牙と融合したバグラは彼の中で納得したように頷いた。

  「コイツ、抜けてるように見えてやけに勘が鋭くてな。眠った隙を突いて完全に乗っ取ってやろうと思ったのに、なかなか眠らなくてヒヤヒヤしたぜ。ともかく、せっかく手に入れたこの肉体を奪おうとするなら容赦はしないぜ!!!」

  そう叫ぶとガチャゴンは一気に巨大化し、あっという間にビルよりも大きな背丈となった。

  それと同時に……

  「うわぁっ!?なっ、なんで僕までぇ!?」

  なんと昇太まで、自分の意思では無いのにみるみるうちに巨大化してしまった。

  「たとえ意思が残ってようが、俺様が産み出した以上コイツは俺様の操り人形なんだよ‼︎さあ、思う存分暴れてやれ‼︎ボルグ!!!」

  「そっ、そんな‼︎ぐっ、やめろぉ……‼︎」

  そうガチャゴンが言うと、巨大なボルグとなった昇太は自分の意思とは関係なく次々とビルや建物を破壊し始めた。

  その状況に彼は顔を赤らめ、悔しさと恥ずかしさで涙を浮かべている。

  「しょっ、昇太‼︎クソッ!今俺達全員で助けてやるからな‼︎」

  「あ、ごめん高崎君……。私、ちょっと今巨大化はキツいかも……。」

  昇太の苦しむ姿を見て巨大化して助けようとする竜牙だったが、渚が荒い息でそれを一旦制した。

  『走ったり連続で戦ったり、ちと老人にはキツかったわい……。ワシらは少し休ませてくれんかのぉ……。』

  「仕方ねえ!それじゃあ他のみんなで……」

  「悪い……。僕も、さっきの産卵見てたら、なんか身体疼いてっ……♡産卵、きちゃいそう……♡」

  気を取り直して再度呼びかけると、今度は羽流が女性のものとなった股を押さえて顔を赤らめながらモジモジし始めた。

  「だーーー‼︎ともかく!行くぞ、彪斗!貫太!」

  「りょーか〜い。」

  「うっ、うんっ‼︎」

  2度も出鼻を挫かれた竜牙はそう叫ぶと、彪斗が変身したガドン、貫太が変身したブンブクと共に巨大化した。

  [newpage]

  「りゅっ、竜牙君!僕の弱点は尻尾だ!そこを突いて無力化して‼︎」

  「ああ!わかった‼︎」

  3対2の状況となった彼等は二手に分かれ、竜牙は昇太と交戦する。

  弱点を教えてもらい、尻尾を攻撃しようとする竜牙だったが……

  バシィッ!!!

  「なっ!?」

  昇太の身体は勝手に動き、尻尾を攻撃しようとした竜牙の腕を掴んだ。

  「ごめん竜牙君!僕、竜牙君より反射速度速いから操られてても反映されちゃうみたい!」

  「さらっと俺のことディスってねえか!?でもこれじゃ、何度攻撃しても防がれちまう‼︎」

  『仕方ない。ではこの作戦でいくか。』

  そうバグラが呟くと、またもや懲りずに竜牙の両腕は昇太の尻尾に襲いかかる。

  当然のごとくその攻撃は昇太によって素早く防がれるが……

  「かかったな‼︎」

  そう竜牙が叫ぶと、彼の尻尾は昇太の尻尾めがけて勢いよく飛び出す。

  取っ組み合いになっており両手を防がれた昇太の身体はそれを防ぐことができず……

  「んひゃあっ♡」

  彼等の尻尾どうしが激しく絡まり、昇太は甘い声を上げた。

  「ぐっ♡こっ、これっ♡俺もっ♡」

  『我慢しろ。昇太の方が弱いはず。このまま耐えてれば勝てる。』

  「んはあぁぁぁぁぁぁっ♡♡♡」

  暫く激しく尻尾を絡ませあっていると、昇太は甘い声を上げその場に倒れ込んだ。

  「はあっ……♡どうにか無力化できたけど、なんかいけないことしてる気がするな……。」

  ビクンビクンと痙攣している昇太を見て、竜牙は気まずそうに顔を背けた。

  [newpage]

  「ククク、たった2体で俺様に勝てるとでも思ったのか?」

  「む〜……。コイツ、仲間頼りかと思ったけど、意外と強いね〜。」

  一方、彪斗と貫太は2人がかりでガチャゴンと戦っていた。

  「せめて何か隙があれば……。」

  『彪斗様。貫太様。私に良い案がございます。』

  「おっ、良いね〜。どんなの〜?」

  2人が突破口を掴めずに悩んでいると、彪斗の中からガドンが提案してきた。

  『ブンブク様の腹太鼓、あれを聞いた者は皆その音の虜になってしまいます。その隙を突いて倒すのはいかがでしょう。』

  「なるほど〜、それじゃ貫太、よろしく〜。」

  「ちょ、ちょっと待って!?流石にすっごく恥ずかしいんだけど!?」

  その提案を聞き、貫太は顔を赤らめ慌てた。

  『けんど、実際それが1番だべ。おら達の腹太鼓であいつを無力化してやるべ。』

  「そっ、そうかもしれないけどさあ……うう……。」

  そうぶつくさと言いながらも貫太は恥ずかしそうに、大きな腹を揺らしてガチャゴンの前に向き直った。

  「ふん、デブ狸がなんの真似だ。テメェ如きに俺様が倒せるとでも?」

  「こっ、こんな恥ずかしい真似させられるのも君のせいなんだからね‼︎覚悟しなよ‼︎」

  そう叫ぶと、ぽんっ!ぽんっ!と心地の良い音を立てて貫太は間抜けな格好で腹太鼓を披露し始めた。

  「フン、何かと思えば。そんな無様な攻撃で俺様が倒せると……で……も?」

  嘲るように鼻を鳴らすガチャゴンだったが、次第にその身体からは力が抜けていく。

  更に音が響くたび、口からは喘ぎ声が漏れ始めた。

  「ばっ、馬鹿なぁっ♡こっ、この俺様がっ♡こんな間抜けな狸怪獣なんかにっ♡」

  「ど、どう!?ガチャで産み出したモンスター達に頼りっきりの君だから、きっと効くと思ったんだ!」

  「そーゆーこと。おかげでおれも準備おっけー。」

  そう言われてハッと彪斗の方を見ると、彼は近くのガスタンクに尻尾を挿れてガスを吸い込み、両肩や胸に付いている大砲のエネルギーを溜めていく。

  そんな彼の姿にガチャゴンが気がついた時にはもう遅く……

  「ガドン・トリプルバスター!!!」

  三つの大砲から勢いよく必殺技を放った。

  それをガチャゴンは直に喰らってしまい……

  「こっ、こんな奴らに俺様があぁぁぁっ!?」

  ばごおぉぉぉぉぉぉんっ!!!と派手に爆発した。

  [newpage]

  「ふー、ガドンの音声シャットダウン機能って便利だね〜。これなら貫太の腹太鼓中でもおれ被害受けないし〜。」

  「ぼ、ぼくが言うことじゃないけど、ぼくと戦った時もそれ使えば操られずに済んだんじゃないかな……」

  『……申し訳ございません。その機能を自分でもド忘れしておりました……。」

  ガチャゴンが気絶している中、各々は彼が起きるまで口々に駄弁っていた。

  そんな中ガチャゴン……千秋が起き上がり……

  「ん……ひゃあっ!?こっ、これ、なに……!?なんで俺……!?」

  [uploadedimage:18243207]

  「おっ、ようやく起きたな!」

  「あー、やっぱりそんな反応になるよな……。」

  案の定困惑してしまう彼を、一同は苦笑いして見つめた。

  『クッ……!屈辱だ‼︎テメェらに見下ろされるなんて‼︎』

  「あ……君が俺に憑いてたやつ…!?なんだか偉そうな性格……。」

  「ま、これにて今度こそ一件落着ということで……」

  「いや、まだだ。」

  安心したように渚がそう呟いたものの、それを止めたのはバグラだった。

  『ああ。そこの怪獣の言う通りだ。まだ貴様等がやることは残ってるぜ?』

  「い、一体何を……」

  『俺の中に残ってる奴の産卵だ。』

  「あっ……。」

  それを聞き、千秋は理解した。

  まだ自分の中に囚われた人達が残っているということも、それを今からみんなに見られながら産まなければならないということも。

  「ちょ、まっ、俺、1人でこっそり産んでくるから……」

  『今の貴様の巨大化した身を隠す場所なんて無いだろ?諦めて産んじまえよ。俺様はどうでもいいけど、その方がテメェ等には好都合なんだろ?』

  「それはまー、そーだけど……」

  「やっ、やだっ!俺にも、心の準備が……おほおぉぉぉぉぉぉっ!?♡♡♡」

  気まずそうな顔をした竜牙達に見守られる中、千秋は町中に喘ぎ声を響かせながら産卵するのだった。