Introduction
淫獣族──
彼らは快楽を生むために進化した、匂いと体液を操る本能的な種族である。
吐息ひとつ、汗の一滴すら刺激となり、触れた相手の理性を削り取る。
その中でも象獣人の吸引魔(きゅういんま)は、異常なほど突出していた。
彼の鼻は獲物の匂いを“味わい”、呼吸を吸い込むだけで相手の身体反応を解析する。
肌に触れれば体液の滲み方まで観察し、性的反応の変化を記録する。
そして自身の体液や性器さえ、刺激の強弱を調整する“実験道具”として扱っていた。
もっと濃い匂いを。
もっと深い吸引を。
もっと強い体液反応を──。
吸引魔は、より強烈で自分を満たす快楽を求める研究者であり、淫獣族の本能を極端にまで研ぎ澄ませた存在だった。
彼に捕まった者たちはみな、匂いに絡め取られ、吸引に引きずられ、逃げるより先に膝を折っていく。
本作は、そんな吸引魔に“研究”された者たちの記録である。
鼻に吸われ、匂いに包まれ、体液ごと支配されていった被害者たち──
快楽に侵される瞬間を残した体験談をまとめた物語。