「はぁ……。」
元辺境伯は協共国間最高議定議事監督所の分署の役職持ちだっただけではなく、世界三大私立探偵警備会社のウィラ・J・フロスティブル探偵社にも籍を置いていたらしく、記憶媒体の閲覧権限も頑強なものだった。
まさか彼から抉り取って薬品処理した喉を発話機械に繋ぎ発声させることでようやく突破できるまでになるとは思わなかった。
解析にここまで手間取るのはいつぶりだろうか。
流石にコピーを取っているが、指定端末以外で起動した場合に発信元がwww回線を接続しておらずともテンペストやサイドチャネルのように記憶媒体機器から発信元が電波に乗ったりしないだろうな……。
分解してから予備機に接続すればよかったな。
モニターがLispを映すとCUIが現れた。
そして探っていくうちにリポジトリ『魔悪犯罪者来歴一覧』を見つけ出し、早速名前を入力して部分一致検索をする。
「……なんで出ないんだよ。」
あの女が一覧に載っていないわけがない。
『ブリキッツ None』
当時あの女と敵対していた父様兄様達の元から俺を奪い攫り愉悦するだけでは飽き足らず、実質的に経営していた娼館の看板にしようと俺にありとあらゆる性技と技術を仕込んだあの売女。
俺が15歳になる前に経営権を手放してとっとと愛人と共に隠居しやがった。
風の噂で魔化的動物を条約に反して創り出した魔悪犯罪を起こしたとか、協共国間条約に反する凶悪扇動犯罪を起こしたとか、しょっちゅう話に尾ひれがついたものを耳にした。
しかし、分かっていることはあの糞女が魔化学の第一人者であったことは事実。
必ず惨たらしい死を直接与えてやらないと気が済まない。
[[rb:通蜩 > ツウヒグラシ]]の声を聴く度にあの日々を思い出して吐き気がする。
『相変わらずそうで安心したわ。クラウス。』
ふと、協共裁判所でハーピィ化した魔悪犯罪者の若い女が言った言葉を思い出した。
「……アライダだっけ?……まさかな。」
震える指でキーを叩いた。
……あの屑女が生きていたとして年齢は70歳前後になるはずで。
『アライダ case』
恐る恐るファイルを開くと、アライダという女の罪状と経歴が事細かに羅列してあり、文字表示が『サロン・キトゥン』を映し出して止まった。
「オェェ……ゲェェ……」
あのハーピィ化した女がブリキッツだとでも?
長年追っていた女は偽名で、老いを克服してのうのうと生きていたのか?
俺が殺すはずの女は、見知らぬ誰かによって正当な裁判にかけられてしまい、公正な法の裁きを受けてしまったということか?
「……助けて下さい……父様、兄様……。」
[newpage]
「ホルガー……『TSF化薬』を完璧にするため……トワイライゴテンナンショウを採集しに行くぞ。」
書斎から出てフロントエリアに足を運ぶとホルガーが邸宅から奪った銃火器類をひっくり返して吟味していた。
「待ってて、今状態がいいやつとパーツをバラして売っぱらうやつを分別中……。」
……俺がまだ選んでないんだが。
「おお……やっぱり手入れがされてるな。」
俺もホルガーも武器類はいくつか保持しているが、持ち歩く銃器には名前をつけている。
今の俺の手持ちは2丁。
フィリー社製半自動回転式拳銃(コバルト)『オーバード』(弾数6発)
S&M社製半自動回転式拳銃(666)『リート』(弾数7発)
「でも中々さ……いい感じのがない。」
そしてホルガーの手持ちも2丁。
フィリー社製半自動回転式拳銃(ニシキヘビ)『ロンドソナタ』(弾数6発)
フィリー社製半自動回転式拳銃(スマイルメーカー)『フーガ』(弾数6発)
「いい感じっても、半自動銃が主なんだから慣れれば同じだ。」
……最初にコイツと出会ったあの日も同じような話をしたな。
「『ミュルの漂泊』に出てくる拳銃、なかなか出てこないよな。既製品のはずなのに、ファンが買い占めてんのか?」
この『ミュルの漂泊』とは、歴史に名を残すミュル博士の自伝小説のことを指す。
内容としてはなぜミュル博士が機械に対して魔化学的に執着することになったのか、愛機デルヴォンとの哲学的思考探究の記録、なぜ小型飛行機に培養脳を接続したのか心境の揺れ動き、そして放浪の末に魔悪犯罪者として処刑されるまでの心情を綴ったものだ。
で、なぜ拳銃が出るのかといえば、ミュル博士は旅の最中に自衛のために拳銃を保持していたのだが、博士は拳銃に名前をつけていたのだ。
フィリー社製輪胴式拳銃(セルリアン)『アポクリファ』
フィリー社製全自動式拳銃(マリンマーメイド)『海獣』
S&M社製ライフル銃(リコード)『エアリード』
これは俺たち旅人達にとっては……ミーハーなファンは同じ名前の拳銃を持ちたくなるものなのだが、量産されていたはずが大戦中に多量に導入されたためかマトモに動くものがなかなか残っていない。
「俺はオンプレを『パストラル』と名付けるかな。」
On-Pre社製回半自動転式拳銃(オンプレ)『パストラル』(弾数8発)
「ならオレはS&M社製のエアウェイトに『カデンツァ』と命名してラムレーに『オブリガード』って付けようかな。」
S&M社製半自動回転式拳銃(エアウェイト)『カデンツァ』(弾数5発)
ラムレー社製半自動回転式拳銃(ラムレー)『オブリガード』(弾数15発)
ミーハーなオタクは名付けも同じルールにしがち。
「じゃ、登山準備を万端にして支度しろよ。」
[newpage]
「クラウス……つーかーれーたー……。」
いつもの自動二輪車で山道を進むわけにはいかず、元辺境伯邸宅から奪った馬達をキモジイに預け、そのうちの2頭に跨って険しい道を進んだ。
「つべこべ言わずついてこい。トワイライゴテンナンショウの既知の生息分布地ではなく、新たな場所を発見しないと魔化的植物採集権が得られないからな。」
魔化的植物は協共国間条約で厳しく監理されており、国境間の隙間に当たる空白地帯をチマチマと探し歩く他に方法がない。
「ハァー……馬の◯ンチン……デケェな……。」
ホルガーは馬の背から胴体にくるりと回り込み、性器をツンツンと弄っている。
「お馬さんが嫌がっているからやめなさい!!」
、、、
「今迄の生息分布地からしてここら辺の雑木林にあってもおかしくないんだが。」
デコボコとした丘や急勾配を進むが、あるのは普遍的な竹や榎、樫に南天ばかりで目立つはずの花姿が見当たらない。
トワイライゴテンナンショウは別名クイーンマムシグサというくらいあって全長は3m以上、特徴的な肉穂花序と仏炎苞を保有しており、さながら『濃い紫色の背に白い腹をした巨大なコブラ』のような形をしているから、遠目からも分かる……。
……分かれば、乱獲されているかぁ。
「クラウス、小便してくる!!」
ホルガーに目をやると既に姿は無く、岩峰からジャンプして崖下の雨裂に飛び降りたようだった。
「相変わらず身体能力と行動力だけは凄いな……。」
仕方がなくホルガーの馬と共に自分の馬を榎の大木に繋いだあと、遭難した時のことを考えて協共連絡所に信号を打ってからゆっくりとロープを伝って崖下に降りた。
「クラウス〜乳首ねぶりスライムがぁ……あっ……乳首ねぶりスライムぅ……」
[newpage]
「乳首ねぶりスライム?」
ロープから手を離すと、真っ先に目を疑った。
「乳首ねぶりスライムがあっ……ああっ乳首をっ……あひっおっあっ乳首ぃ……」
喘ぎ声を上げるホルガーの胸には半透明で薄いグレーがかった軟体生物らしき生き物が服を捲り上げて吸い付いて?いる。
「なんだこれは……見たことがない。新種の魔化的生物か?」
新種と思わしき生物は幅80cm程の平べったい胴体に尻尾のようなものがあり、首?から先は五股に分かれて両乳首に吸い付く2本、カタカタとベルトを外そうとする1本、ホルガーの腕を拘束している2本と器用に分かれ、ウネウネと動いている。
とりあえず首を触手と呼称する。
「乳首イきするっ……イきそっ……あっ……」
いやまて、魔化的生物は元は既存生物から派生したもの。
脱皮動物なのか冠輪動物なのか、知りたい。
「ホルガー、乳首はどんな感じだ?」
先ずは吸血なのか熱を求めているのかだが、性感帯を狙うということは精液、つまり血液を含む液体を吸収しようとしているのか?
「ちぃ……乳首ぃ、沢山ある小さい歯ぁあん……みたいなのでガジガジされて気持ちぃ……」
成る程、歯があるのなら環形動物に近いか?
メモ帳を取り出して観察しながら写生しているとカチャンと音がして、見るとホルガーのベルトが外れたようだ。
「やばいやばい◯ンポ食われりゅぅ……お゙っ……すげ……」
ホルガーの肉棒だけが半透明な触手に飲み込まれてギュムギュムと波打つように刺激を受けて震えている。
「◯ンポはどんな感じ?」
サラサラとペンを走らせて乳首に吸い付いている触手と◯ンポを飲み込んでいる触手の違いを書き記す。
違いというより、役割に応じて体内の動きを変えているだけようだ。
「ひんやりオナホぉぉ……出るぅ……」
情けない雄叫びと共に射精されたザーメンが触手により吸収され、溶けていく様子が見て取れる。
「消化が早いな。」
◯ンポを飲み込んでいる触手はそのまま脈打って射精を促し、残りのベルト担当だった触手は裏手に回った。
「んお゙おっ……ケツ穴はやばいからぁぁ……くぅケツ穴処女がぁっ……おほっやばいぃ……」
……違う、まだ完全に塞がってないTSF化の名残の◯ンコの穴を狙われていたら……。
ほじくり返されたら困る。
……男、ふたなりもどきによる逆レ◯プは二度とごめんだ。
「今助ける。」
[newpage]
「クラウス大先生……早くぅ……あおっおっイぐぅ……」
ホルガーの出自の手前、あまり使いたくなかったが……。
「来い『吸血ゴマタノオロチヒル』!!」
これで新種なら俺が命名権を持ち、魔化学術界での立場が向上するんだからお安い御用だ。
ヒュンと牛追い鞭、ブルウィップを掲げてバチィと新種のヒルに打ち込むとキュッと縮こまった。
やはりヒルでいいな。
「さすがー!!クラウス大先生が乳首ねぶりスライムをやっつけたー!!」
だから乳首ねぶりスライムじゃないって。
「って、お、はあ!?」
気を抜いた途端ヒルがグニョンと伸びてきてシャツの下を捲って乳首に吸い付いた。
「クラウス大先生がんばれー。」
クソ、乳首をコリコリと固い歯が扱いて……。
「お゙っ乳首はやめっ……やめろぉ……」
思わず前のめりになると、先程のやり取りで方法を覚えたのか、触手は俺のベルトも外してみせて肉棒をニュルりと咥え込んだ。
「がんばれがんばれ!触手にイかせられるな!」
ホルガーの奴、あとで覚えてろよ……。
触手は陰茎が持つ熱をひんやりとしたジェル状の体表で冷やし、アコーディオンのように伸縮を繰り返してゴリュゴリュとした固い内膜でバキュームしながら射精を促した。
「イきたくなぃ……乳首ねぶりスライムなんかでぇ……イッ」
あえなく射精をしてもヒルは次の精を強請るように竿だけでなく陰嚢もふにふにと押し、手が余った触手が裏手に回った。
「あ、クラウスのケツ穴がヤバい。」
尻に回った触手は吸着ではなくヌプヌプと菊門を空けて排泄腔に入り込もうとしている。
「や゙めぇ……そこぉ……イッイくぅ……」
乳首と◯ンポ、おまけにケツ穴をほじくられて痙攣するほど濃い精を触手の中に吐き出してしまった。
「かわいそー、クラウス大先生がメスイきしちゃったー」
……あとでぶっ飛ばす。
しかし、このままでは寄生のように卵を産み付ける生物であった場合、命に関わる。
ただ今はホルガーを頼りたくない。
暴れても軟体であるから容易に解くこともできない。
最悪、新魔化的生物発見の評は劣るが『臓器固定剤』を投与すればヒルは死ぬが標本にはなるか……。
「すみませーん!!協共連絡所の魔化学探索研究室宛に信号を送った方いますかー?もしかして遭難ですかー?」
[newpage]
「大丈夫ですかー!?意識はありますかー!?」
……最悪だ、岩峰の上から若い女の声がする。
乳首ねぶりスライムではなくヒルではあるが、他者に犯されている姿なんて女如きに見られたら……殺すだけではすまされない。
「あ!!乳首ねぶりスライムが逃げた!!」
ヒルは女の気配を察するとジュポンと陰茎を吐き出して声のする方へ這っていった。
今のうちに消毒液でヒルの体液を拭き取って、ホルガーに消毒液を渡すとゆっくりと崖に迂回するように雨裂を上がっていった。
「ホルガー、いいショーが見れるかもしれない。」
、、、
「キャア!?いやぁっ!?何!?やだぁっ!!」
登山服を着た若い女は乳首ねぶりスライムに捕まっていた。
ということで、ホルガーと俺は乳首ねぶりスライムによるレ◯プショーを特等席から眺めることにした。
「いやぁ……やだ……誰かぁっ!!誰か助けてぇっ!!」
俺たちを助けに来たはずが、逆に助けを求めているのはお笑い草だ。
女のシャツのボタンがバチッと弾け飛ぶと豊満な乳房がブルンと零れ出した。
「……あの女、巨乳だな。……後でお溢れに預かろうぜ。」
そして触手に両乳首をチュウチュウと吸われ、白い乳房はその度にバルンバルンと揺れた。
「……俺はパス。」
女は快感と恐怖に入り混じったような顔をしているように見え、チュポンッチュポンッと乳首を吸われクニクニと押しつぶされたりキュムッと歯で引っ張られる度に喘ぎ声を出した。
「あっあっやだぁ……おっぱいすっちゃだめぇ……」
……イカ臭いな、まだ新生物の残り香があるのか?
「ヤバい……女が乳首ねぶりスライムに……レ◯プされてるっ……」
なんだ、ホルガーがマスをかいているだけか。
女に視線を戻すと登山用のカーゴパンツをずらされて秘部に触手が2本吸い付いていた。
「成る程、◯ンコ担当といってもクリ◯リス担当と膣穴担当の二手に別れたというわけか……」
ついつい俺もシュコシュコと竿を扱いてしまう。
「あああんあっやだ……イくぅ……イきたくない……誰か助けてぇ……いやぁ……ああんあん……んあっイくぅ」
女が陰核をねぶられて秘裂から出た愛液を触手が一滴も漏らさないようにジュルジュルと吸い付き舐め取っている。
「オレもイくぅ……。」
[newpage]
「お゙おっあ゙あ゙っい゙ってりゅ……い゙ってりゅかりゃぁお゙ほっ……い゙ぎだぐない゙っ……」
俺たちが視姦に飽きて飯を食べている間も女は連続絶頂、つまりイきっぱなしで白目を剥いて舌をだしてぐったりしていた。
「なークラウス、あの女死にそうだな。」
気づけば触手の1本が鋭くなりケツ穴に入っている。
仮説が正しければ、ケツ穴から卵を産み付けるのだろう。
「さぁ……。」
しばらく様子を見ていたが、夜が明けるころに変化が現れた。
「あ……い゙……」
膣に吸い付いていた触手が内臓を抉り出したのだ。
驚いたことに出血はしなかった。
女が色白であり観察が夜間にまたがってしまったため気づかなかったが、とっくに体内の血を絞り尽くされていたのだろう。
「あ、乳首ねぶりスライムが移動する!!」
距離を取りながら雨裂の崖伝いを移動すると辺りを崖で覆われた窪地が現れた。
「トワイライゴテンナンショウじゃないか!!」
偶然にも、目的の植物の自生地だったらしい。
……ヒルはこの湿地を生息地にしているのか?
「みろよクラウス!!ヒルがヘビみたいな花の中に女を棄てたぞ!!」
そういうことか!
雌雄偽異株のトワイライゴテンナンショウはトラップ送粉といって昆虫や動物を閉じ込める。
雄花序の場合は脱出可能だが、雌花序の場合は脱出不可だ。
つまり今は雌の状態であり、ヒルは共生関係で獲物の亡骸を花弁に入れれば産み付けた卵は孵化まで守られ、花側は養分を得られるというカラクリだ。
ヒルも雄状態なら花弁内で期を伺えばいい。
「これで自生地と新生物発見による利益は俺のものだ……。」
ガシャンガシャンと山に相応しくない鋼の音が聞こえて振り向くと、探偵社のバッチをつけた男が立っていた。
「すみません、お話を伺っても?」
ウィラ・J・フロスティブル探偵社……追っ手か?
しかし、敵に回すのは……。
「はい。」
どうする?抜くか?
「凄いですね!この生息地、貴方が発見されたんですか?」
男はヒルを発見すると捕獲用装置を起動させて安安と捕らえてしまった。
「はい。」
……どうやら単純に信号で駆けつけた者らしい。
「すみません、ここら辺で女性を見かけませんでしたか?先に出立した僕のフィアンセなんです。」
俺とホルガーは顔を見合わせて即答した。
「「さあ?見てません。」」