ここはとある国にある観光サファリパーク「アニマランド」。
野生環境の保護と理解のために作られたこのサファリパークには世界中からたくさんの人達が訪れている。
わたしがここで地道に働きだしてからそれなりに月日はたっているけど……ここではいろんな人達がいろんな仕事をしている。
動物の観察はもちろんだけど、エントランスエリアでのお客さん相手のガイドや見回り、清掃に売店での売り子さんなどなどいろんな仕事があるわけ。
他にも「もう一つ」大切な仕事があるのだけど……これはちょっと言えない。
そうしている間にもアトラクションコーナーで歓声が上がってる。
このサファリパークのスタッフ達が結成しているガールズユニット「プリンプリン」のライブだ。
ちなみにわたしの先輩達でもあったりする。
お客さんもそうだけど先輩達も色々な国の人達がいる。
メインで歌っているのはわたしと同じ国の人だけど、どの先輩達も思いっきり元気に歌ってる。踊ってる。演奏してる。
アニマランドの元気なユニットといううたい文句は本物、そう思えてくる。
これで普段はガイドや見回りの仕事もこなしているのだから本当にすごい。
わたしも仕事の手を止めてついついそのステージに見入っているのは……まだまだ半人前だな。
でも、これでもわたし……と思ってたら!
突然わたしのスマートウォッチにコールが入る。
それと同時にステージで演奏していた「プリンプリン」の先輩達が突然ステージから消えちゃった。
お客さんたちは演出だと思って歓声を上げてるけど……実はそうじゃないんだよね。
入れ替わりに始まった別のユニットのライブに歓声が上がる中、わたしはこっそりと、それこそ他のスタッフにも気づかれない様にその場を抜け出すと特別な出入り口に飛び込む。
わたしや「プリンプリン」の先輩達を始めごく一部のスタッフだけが知ってる出入り口に。
そしてその飛び込んだ先には……。
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わたしは光の川の中を進んでいる。
そう言えるのはわたしがその中で浮かぶ様に、流れる様に進んでいるから。
これがアニマランドの「秘密」の一つ。
この流れに乗ればアニマランドのどこへでも―もちろん出入り口のある所限定だけど―に行けるって事。
そうしてる間にも一足先に流れの中にいた先輩達と合流する。う〜ん、やっぱり盛り上がってた所でコールされると怒る、よね。
ステージでメインで歌ってたリーダー格の先輩がなだめつつまとめ上げる中、わたし達は光の中を流れ続ける。
その流れの中でわたし達は一瞬光に包まれると先輩達が着ていたステージ衣装も、わたしの仕事着も一瞬で消えてしまった。
そう、わたし達は生まれたまんまの真っ裸……うう、まだ慣れない。
先輩達は肌の色もスタイルもそうだけど反応も様々。
ほんのり恥じらってる人もいればおもむろに隠してる人もいる。
大胆に見せてる人もいるけど……きっと聞いちゃいけないんだろう、いろいろ。
そんな裸のわたし達を飲み込んでいた流れが止まり、緩やかに降りていく。
裸でダイビングなんてやっぱり慣れないけどこれはこれで悪くないなんて思ってる。
そうしているうちにどこからか声が聞こえてきた。
わたし達がこんな姿でこんな事をしながら向かう場所と目的が告げられる。
そんなこんなで裸ダイビングを続けるうちに……わたし達は再び光に包まれる。
まるでカメラのフラッシュを炊くように何度も、何度も明滅する光が裸のわたし達を包む。
フラッシュが何度も焚かれる中で、ただ落ちていくだけだった身体が宙を舞う。
まるでアーティスティックスイミングの様にわたし達は裸の身体を泳がせてゆく。
ある先輩は背中を翻し、ある先輩は身体を丸めるように。
その中でわたし達はその姿を変えていく。
柔らかい皮膚で覆われた素肌が金属の表皮に置き換えられ、光沢をまとっていくような感覚。
裸にメタルなその姿はちょっとしたオブジェかも。
生まれたままの身体の形を保ちながら金属のプロテクターがメタルな素肌の要所に生えていくように張り付いていく。
そんな金属と生まれ持った素肌が重なり合うフィット感はちょっと気持ちいい。
仕上げは顔。
ちょっと浸っている素顔がそのまま金属の顔に置き換わる……とまではいかず後頭部から金属に覆われる感覚とともに目の前が透明なスクリーンに覆われる。
すべてが終わった時、わたし達は素肌からフルメタルのアーマースーツとフルフェイスのヘルメットを身に着けた姿に変わっていた。
先輩達の色とりどりの色合いに比べるとちょっと地味な色だけどそれはそれ。
でも、わたし達の「変身」はそれだけじゃない。
アーマースーツ姿に変わりながらわたし達は独特の姿勢を取っていた。
腰を下ろす者もいれば四つん這いになる者もいる。
わたしもいつの間にかちょっときわどいかなと言う姿勢になって降りていく。
そして―最後のフラッシュと共に最後の仕上げ。
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わたし達の鋼の肌に何かが装着される感触と金属音が響く。
身体にピッタリ合わさり一体化していくような感覚。
わたしも手足を伸ばして一体感を確かめる。
なにか機械―ビークルの中にいるような感覚。
でもちょっと違う、ビークルに乗り込んでいるというよりも―。
わたし達がビークルの一部になっているという感覚。
実際わたし達の鋼のスーツはハーネスも兼ねたフレームの様にタイヤやエンジンと組み合わされ、ちょっとしたビークルの形を形成してる。
どこまでも走り抜けられそうなオフロードバギーにオフロードバイク。
中にはスノーバイクの様に後輪がキャタピラになったバイクみたいな姿をした先輩もいる。
かく言うわたしもちょっとだけきわどいポーズでビークルのドライバー兼フレームになってたり。
でもリーダーの先輩なんてそのまんま両手両足でタイヤを掴んだバイクな姿だったり。
これで万が一事故ったら……一応メタルスーツ越しとは言えアニマランドの技術恐るべし。
そう思いながらわたし達はいつの間にかビークルレーンの上に降り立っていた。
改めて恐るべしアニマランドの技術。
先輩達は手慣れた動きで、わたしもそれを追う様にビークルボデイのチェックをしているとヘルメットのバイザーにパトロールドローンからのデータが浮かぶ。
今から行くべき場所、そこで何が起きているか。
そしてわたし達が何をするべきか。
最後にモニターにメッセージが浮かぶ。
「Lets Go!ギャルバトラー!」と。
それが今のわたし達の名前。
裸の心と身体に鋼のメタルスーツとビークルをまとってアニマランドの重大トラブルに臨む特殊チームでわたしはその新人メンバー。
普段の仕事込みでやってる事や慣れきれない変身シーンをはじめ色々大変だけど……。
それでもわたし達は行くんだ。
アニマランドの動物達とお客さん達の為にも。
先輩達が次のステージに間に合わせようと意気込んでいる通信が聞こえる。
それにあわせてわたし達の背中で、足元で、両腕で。
エンジンが回り、タイヤが震える。
その刺激がドライバー兼フレームなわたし達の身体を伝って全身にいきわたる。
この感覚―やっぱりいい。
身体が熱くなり引き締まっていくような感じから……!
「GO!」
のサインと共にわたし達は解き放たれる。
機械の鼓動を震わせながらアニマランドの草原へ、果てしない世界へ。
鋼の毛皮で風を切ってわたし達は走る。
四輪の四肢で大地を蹴ってわたし達を必要とする場所へ駆けつける。
そしてわたし達は必ず帰る。
鋼の毛皮を脱いだ人としての素肌を心地よいシャワーにあててからあの光の川に流していく……おっと、集中集中。
わたし達の「仕事」は始まったばかり、なのだから!
Girl Battler・Mission Start!