第1話 「おしっこ我慢相撲部」

  [chapter:Episode 1:4頭でおしっこ我慢]

  ここはケモノ小学校埼玉校の相撲道場。相撲部の活動が終わった所だ。

  12頭の部員は2頭で1組になり、更衣室でまわしを脱いでいる。

  「はい、完了!」

  「いつもありがとう、稲荷山くん。」

  シマリスの[[rb:栗田 永雄 > くりた ながお]]くんとキタキツネの[[rb:稲荷山 紺助 > いなりやま こんすけ]]くん(共に4年生)は親友同士。着替えの時も仲が良い。

  虎の[[rb:島田 大河 > しまだ たいが]]くん(部長)はビーバーの[[rb:林 海里 > はやし かいり]]くん(共に6年生)とまわしを脱いだ後、ホッキョクグマの[[rb:保良 部亜 > ぽうら べあ]]先生(相撲部顧問。45歳)に話しかけた。

  彼は慣れているため、自力でまわしの着脱ができる。

  「今日は疲れましたね。もうくたくたですよ……」

  「そうだな。私も同じだ。」

  すると、まわしを脱ぎ終わった栗田くんと稲荷山くんが言った。

  「ぼく、トイレに行きたいな。さっきから10分ほど我慢してるんだ……」

  「実はぼくもなんだよ。」

  島田くんと保良先生も恥ずかしそうに言った。

  「実は俺もだ……」

  「驚いた、私もだぞ。せっかくだからみんなでトイレに行くか。」

  4頭は全裸のまま更衣室を出て、トイレに向かった。

  「どうせすぐ戻るから、下着も着けなくていいよな。」

  その間に他の部員は、次々とシャワールームに向かった。

  トイレに続く廊下を通っていた時、声が聞こえた。

  「柴山くん、いるかしら?」

  柴犬の[[rb:古川 明子 > ふるかわ あきこ]]ちゃん(5年生の調理部員)が裏口から入ってきた。

  そこから廊下の角を曲がれば、全裸の栗田くんたちと対面してしまう。

  「まずい!隠れよう!」

  4頭は近くの倉庫に隠れたため、見つからずに済んだ。

  10分ほどして、柴犬の[[rb:柴山 健治 > しばやま けんじ]]くん(5年生)が倉庫の前に現れた。彼は既に着替えている。

  「遅くなってごめん!明子ちゃん、何か用?」

  「調理部でケーキ作ったから、柴山くんへの差し入れとして持ってきたの。」

  「ありがとう、喜んでいただくよ!」

  柴山くんはケーキを食べた。

  「おいしい!こんなにおいしい物、どうやって作るの?」

  「作り方を教えてあげるわ。今からメモに書くわね。」

  明子ちゃんは近くのロッカーにメモ用紙を置き、作り方を書き始めた。

  「まずは生地の作り方からね。」

  2匹は和やかに話していた。

  しかし、倉庫の中はそれと程遠い状態だった。

  「漏れそうだよ……」

  「ぼくもだよ……」

  「我慢できない……」

  「よりによってここで始めるとは……」

  栗田くんたち4頭は、漏れそうになり焦っていた。

  その上倉庫は非常に狭く、窮屈で仕方がない。拷問のような状態だ。

  「ああ、シャワールームに行けば良かった……それならおしっこしても気づかれなかっただろうね…」

  時間が経つにつれ、4頭の尿意は強くなった。しかし作り方の説明はまだ半分ほどしか進んでいない。

  島田くんが提案した。

  「よ、よし、こうなったら俺が部長としてみんなのおしっこを飲んでやる!」

  「そ、そんな!いくらなんでもそれはないよ!」

  栗田くんが驚きの声を上げた。稲荷山くんと島田くんも続く。

  「部長におしっこを飲ませるなんて、とてもできない!」

  「もしお前が体を壊したら、どうするんだ?」

  「ああ、それじゃやめよう……」

  4頭の尿意は限界に近い。

  「もう我慢できない……」

  「4年生にもなってお漏らしなんて嫌だよ……」

  「部長として漏らすわけにはいかないぜ……」

  「顧問として情けない……」

  4頭とも股間に手が伸ばしづらいため、両脚を押さえつけながら体を震わせている。

  栗田くんは扉に耳を付けているため外の声が聞こえるが、物置の扉は厚い鉄製のため、柴山くんたちには気づかれていない。

  「ああ、もう無理だ!」

  稲荷山くんが叫んだ時だった。

  「これで作り方は全部よ。」

  「ありがとう。今度お母さんに作ってもらうよ。それじゃ、一緒に帰ろうか?」

  「うん!」

  柴山くんと明子ちゃんは相撲道場を出た。

  「みんな、帰ったみたいだ!もう誰もいないぞ!」

  島田くんの言葉に一同は喜んだ。

  「助かった!」

  「急げ!」

  4頭は扉を開け、すぐ隣のトイレへ向かった。

  4つ並んだ個室を、栗田くんたちが使っている。便器は相撲部員に合わせて大きめだ。

  「はあー、すっきり……」

  「気分爽快だ……」

  「やっと解放された……」

  「これで安心だ……」

  4頭はシャワーと着替えを済ませ、相撲道場を出た。

  「ああ、今日は大変だったね……」

  「でも、時が過ぎれば思い出になるだろうね。」

  [chapter:Episode 1 おしまい]

  [newpage]

  [chapter:Episode 2:保良先生・我慢の1日]

  Episode 1の1週間後。

  「あなた、もう起きて!」

  「んー、なんだい……」

  「[[rb:阿蓮 > あれん]]はとっくに学校へ行ったわ!あなたも早く起きなさい!」

  「あと5分……なんだって!? 7時50分!? 遅刻だー!」

  妻の[[rb:由紀子 > ゆきこ]]に起こされた保良先生は、慌ててベッドから飛び起きた。

  「急げ急げ!」

  大急ぎで洗顔、ブラッシング、着替えを済ませる。

  「あなた、朝食は?」

  「食べてる暇はない!行ってくるぞ!」

  「行ってらっしゃい。間に合うかしら……」

  保良先生は家を飛び出し、5分ほど走ってケモノ小学校埼玉校に着いた。太った体を無理やり走らせたため、到着時には息を弾ませていた。

  (なんとか間に合った。近くに住んでいて良かったよ……)

  職員室に荷物を置き、4階にある6年1組の教室へ。彼はここの担任だ。

  「みんな、おはよう。」

  「おはようございます。」

  出席を取ると、欠席者が5頭いるとわかった。

  「ここまで欠席が重なるとはな。みんなも健康に気をつけろよ。」

  こうして1日が始まった。

  1時間目の終了時、保良先生は気がついた。

  (まだトイレに行ってないな。でも漏れそうでもないから、まだ行かなくてもいいだろう。)

  この判断が大きな誤りになる事を、彼はまだ知らない。

  2時間目の終了時、尿意を感じた。

  (そろそろ行くか。)

  2階の職員用トイレに向かったが、そこには入れなかった。トイレの前でキャスター付きのオルガンが立ち往生している。

  「い、一体何が?」

  オルガンを押していた1年2組の担任(白うさぎの女性)は答えた。

  「次の授業で使うオルガンを運んでいたら、ここでキャスターが壊れちゃったんです。すみません……」

  「仕方ないな。まあ、まだチャンスはあるだろう。」

  本校の職員用トイレは1ヶ所のみ。また、職員が児童用のトイレを使用する事は禁じられている。

  彼はトイレを我慢して、職員室に戻った。

  3時間目になると、尿意が少し強くなった。

  (考えてみると、あの時私がオルガンを持ち運べば良かった。私の力ならあれぐらい運べるはずだ……)

  そう考えてももう遅い。しかしまだ我慢できるレベルだったため、気づかれずに済んだ。

  休み時間が始まった。

  (さあ、今度こそ……)

  2階に降りようとした時、セントバーナードの[[rb:乾 奈々 > いぬい なな]]ちゃんがノートを持ってきた。

  「先生、さっきの授業の事で質問があるんです!」

  「ああ、何だい?」

  「この数式の解き方をもう一度教えてくれませんか?」

  「あ、ああ、わかった……」

  (これは長くかかるぞ……)

  説明が終わった時は、4時間目の開始3分前だった。

  (もうトイレに行く暇はないな……)

  4時間目には尿意がさらに強くなった。

  (これさえ終われば……)

  保良先生は自分に言い聞かせて、なんとか耐え抜いた。

  次は給食の時間。今日は月に一度のコーヒー豆乳が出る日だ。

  保良先生はコーヒー豆乳が好物。多くの児童と同様、今日を楽しみにしていた。

  (でもまずはトイレに……)

  職員用トイレの前に行くと、そこに大量のクリームシチューがこぼれていた。横ではキタキツネの男の子(1年生)が泣いている。

  「わーん、こぼしちゃったー!みんなに怒られるー!」

  (こ、これじゃ靴が汚れる……)

  保良先生は尿意をこらえて6年1組に戻った。

  「いただきます!」

  食事の開始から数分後、林くんが提案した。

  「今日はコーヒー豆乳が5本も余ってるから、じゃんけん大会をしよう。勝った奴が全部飲むんだ。」

  「わーい!絶対勝つぞ!」

  「俺も!」

  「私も!」

  合計10頭が参加を表明したが、保良先生は無反応だ。

  「あれ、先生は参加しないんですか?」

  「勝ったら大好きなコーヒー豆乳が自分のと合わせて6本も飲めるんですよ!」

  (あんなに飲んだら漏らす危険性が大きいが、こんなチャンスは滅多にないからな。さてどうしよう……)

  悩んだ末、保良先生は参加を決めた。

  (まあ、運任せだから勝てるかどうかはわからないな。)

  「最初はグー!じゃんけんぽん!」

  じゃんけん大会がスタート。ところが保良先生が勝ち進み、最終的に優勝してしまった。

  (ど、どうして今日に限って……)

  「良かったですね、先生!今日は6本も飲めますよ!」

  (まずいな、こんなに飲んだら……)

  「こんなにもらっては申し訳ないから、何本かは誰かにあげようかな。」

  すると、奈々ちゃんが言った。

  「せっかくのチャンスだから全部先生にあげますよ。」

  「そ、そうだな。こんなチャンスは滅多にないからな。」

  保良先生は合計6本のコーヒー豆乳を楽しんだ。

  (ああ、冷たくてうまいぜ!幸せだ!)

  次は掃除の時間。この間はトイレを使えない。

  保良先生も尿意をこらえ、教室の掃除を手伝った。

  その次は昼休み。

  (や、やっと行けるぞ……)

  職員用トイレの前では、特に何も起こっていない。

  ところが中に入ると、床をゴキブリが這っていた。

  「うわ、ゴキブリだ!」

  保良先生は驚いて逃げた。彼はゴキブリが大の苦手だ。

  (私はいつになったらトイレに入れるんだ……今日は何者かに運命を操作されているようだ……)

  コーヒー豆乳を飲んだため、5時間目になると尿意はさらに強くなった。それでもなんとか授業を終わらせた。

  (さあ、今度こそ……)

  トイレに向かっていると、4年2組の[[rb:小山 裕 > こやま ゆう]]先生(柴犬)が歩いてきた。

  「こんにちは、保良先生。先ほど聞いたのですがゴキブリに……」

  「うわー!もうゴキブリは嫌だー!」

  保良先生は怯えて職員室へ逃げた。

  (ああ、まだゴキブリがいるのか……漏らすかと思った……)

  残された小山先生は不思議な表情を浮かべた。

  (一体なんだ?5期ぶりに連載が再開した漫画の話をしようと思ったのに。)

  6時間目。保良先生は体を不自然なまでに震わせ、言葉もまともに出ない状態で授業を続けた。

  「保良先生、質問があります。」

  「ど、ど、どんな質問、かな?い、乾さん……」

  「もしかしてさっきからトイレを我慢してませんか?」

  「い、い、いや、そんなはずは、な、ない!この私が、いい歳して、我慢、なんて!」

  「そんなに我慢しちゃ体に悪いですよ。」

  「いいかね、私は、トイレなど、が、が、我慢して、いないぞ!」

  「怪しいわ……」

  帰りの会も終わり、部活動の時間が来た。保良先生は職員室に荷物を置き、相撲道場へ。

  (で、でもその前にトイレへ……)

  相撲道場のトイレに行くと、作業員が集まっている。

  「な、何が、あったんですか?」

  ビーバーの作業員が答えた。

  「実はここの水道管に異常があると連絡があったため、現在修理中です。あと1時間ぐらいすれば、シャワーやトイレが使えるようになりますよ。」

  (そ、そんな……部活が終わるまでトイレに行けないのか……

  シャワールームでおしっこしても、流せないからばれてしまう。つまり我慢するしかない!)

  落ち込みながらまわしを締め、しばらくすると部員たちが集まった。

  「みんな、始めよう……まずは、着替えだ……」

  12頭の部員はまわしを締めた。島田くんは挙動不審な保良先生の態度を疑問に思った。

  「先生、なんか足が震えていませんか?」

  「そ、それは気のせいだと、思うぞ?」

  数分後、準備運動が始まった。

  「さ、さあ、まずは、筋肉をほぐそう……」

  「先生、いつもの元気がありませんね。」

  「それに動きも弱い。」

  「気に、しないで、続けろ……」

  準備運動が終わると、取り組みに入った。見物中の保良先生は体を激しく震わせている。

  (ああ、もうとても我慢できない……膀胱が破裂しそうだ……)

  もう我慢を周囲には隠せない。栗田くんや稲荷山くんも気がつき始めた。

  「今日の先生、絶対おかしいよね。」

  「もしかしてトイレを我慢してるんじゃない?」

  「ぼくもそう思うよ。」

  (ああ、ついに気づかれたか……)

  「さあ、先生の、事は、気にしないで、続けて、くれ……」

  「そんなに体を震わせているのを気にせずにはいられません!」

  「いいから、気に、するな……」

  教師や元力士としてのプライドもあるため、保良先生は必死で耐え抜いた。少しでも気が緩めば漏らす危険が高いため、意識は股間に集中させた。

  ついに部活動の終了時刻が来た。

  「よ、よし、みんな、今日は、ここまでだ!礼!」

  急いで礼を済ませ、更衣室でまわしを脱ぎ、シャワールームへ。

  保良先生は部員たちと共にシャワーを浴びながら、用を足した。幸い、誰にもばれなかった。

  (ああ、すっきりした……)

  その頃、どこか別の世界で、邪悪な笑い声が響いていた。

  [chapter:Episode 2 おしまい]