サンプル -05- 温泉旅館での出会い

  心臓の音がどくん、どくんと暴れる。

  どうしても、眠れない。

  身体の芯がずっと熱くて、痒くて、堪らない。

  その原因は、言うまでもなく。

  ――すぐ、近く。

  襖1枚隔てた隣に"あの"アルファがいるから。

  僕が今、横になっているこの空間。

  それはひとつの大部屋で。

  隣の空間とは襖だけで仕切られている。

  ちらり、と目配せすれば。

  薄い襖のその向こう側。

  そこには。

  "熊谷建設"の皆さんが寝ているんだ。

  その中には。

  広間で一緒に夕食を取ったあの。

  デカすぎる、熊谷さん。

  彼もきっとずしっと眠っているはずで。

  ――広間で、少し香った彼の体臭。

  それが時折ふっとこちらへ流れてくるのが分かって。

  すんすん、と嗅げば。

  汗と石鹸と、熱を帯びた雄のニオイ。

  それだけで僕の体は反応してしまう―――

  『ん…く……っ♡』

  体の奥が、熱い。

  痒くて、堪らない――

  このままではどうにかなりそう。

  そう身悶えていた、そんなときだった。

  「………起きとるな?邪魔すんぞ」

  『は……ぇ……―――♡』

  ――襖が。

  しゅっと、ごくわずかに開いて。

  その隙間から。

  低い、雄熊の声がボソっと流れ込んでくる。

  僕の胸の奥にずんっと重く響くそれは。

  ――熊谷さんの。

  さっき、夕食のときに相席した、ほんの少しだけ会話した相手の。

  雄の声で。

  『ぇ、ぁ…ぇ、っと、はい……っ♡』

  反射的に、体が起き上がる。

  頭が考えるよりも先に―――

  心が反射的に"歓迎"してしまうと。

  そんな僕の了承を得て、すぐ。

  デカい中年の雄熊がのっそりと。

  抜き足、差し足で。

  音も立てずにその巨体を忍び込ませて。

  僕の、空間。

  こちら側の、豆電球だけが灯る。

  薄暗い、空間。

  そんな情緒ある床の間へと侵入してくれば。

  目が、合う。

  「……いや、なんや。寝れんかっただけや……悪いな。」

  熊谷さんは気まずそうに、目をそらして。

  それから、ゆっくりと――

  後ろ手に襖をぴしゃん、と閉めると。

  ――僕と向かい合う。

  『ぁ…は……♡』

  そうすれば、見えてしまう―――

  熊谷さんの、はだけた浴衣。

  その隙間からは大きく盛り上がった胸板が見え。

  筋肉の硬さと、中年特有の脂肪の柔らかさ。

  それらが融合したような。

  "弾力"と"重さ"を感じさせる雄っぱいと。

  その大きな膨らみには。

  これまた大ぶりな乳首がぷっくりと立って。

  やや湾曲した大きすぎるその腹部も。

  鍛えられてなお厚みのある皮下脂肪が乗っているようで―――

  毛深く、逞しく、それでいて妙にスケベなシルエット。

  そして視線を落とすと。

  脚の間には。

  白い布地が、今にも弾けそうなほど突き出していて。

  布越しに浮かび上がる、輪郭。

  それだけでわかる―――僕への、期待。

  『……くぁ♡』

  すべてが、凄すぎる♡

  なのに熊谷さん自身は。

  一切、何も口にせず。

  ただただ襖を閉めては。

  そのまま。

  僕の布団の上に。

  ドすん、と音を立てることなく―――

  でも確かな重量感をもって胡坐をかいて。

  僕たちは――気まずさの中、対面する。

  「………」

  『……………』

  豆電球の弱い光の下。

  その巨体はまるで部屋の空気ごと占拠するかのようで。

  思わず僕も正座して。

  互いの膝と膝が触れそうな距離が。

  近すぎる。

  でも僕はもう逃げない。逃げられない。

  なぜなら――頭がぼうっとし始めているから。

  でもそれは眠気からくるものじゃなくて。

  きっと、熊谷さんの体からにじみ出るフェロモンのせい。

  だからこそ僕のナカがじわっと疼いて。

  ふと足を動かせば――

  雄膣の内壁がくちゅ、と音を立てる。

  そんな気がして。

  もう身動きが取れないんだ。

  熊谷さんの方も、黙ったまま。

  視線は逸らしたままなのに。

  チラ見えする浴衣の下が雄弁すぎた。

  はらり、とはだけた浴衣のすき間から。

  広がった腿のあいだで股間を覆う、白い布。

  その中心は"ボコっ"と突き上がっていて。

  あまりにも不自然に盛り上がったソレ。

  すぐにでもはちきれそうなほどパンパンに詰まったその中身が―――

  時折ピクンと軽く跳ねた気がして。

  ――僕は、思わず目を逸らした。

  『……♡(だめだ、これ、見てたら……っ♡)』

  だけど目の端で捉えてしまう。

  あのサイズ、あの膨らみ。

  その中にある熱と脈動を想像するだけで――

  雄膣の奥がぎゅっと痺れてくる。

  そんな時。

  「……お前さん……―――」

  熊谷さんの低い声。

  それが僕の耳に落ちてきて―――思わず。

  心臓がびくっと跳ね。

  「……オメガか。」

  ―――――

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