[chapter:はじめに]
2018年、大学のとある講義で「三題噺」を書く課題がありました。
三題噺とは大喜利の一種。出された3つのお題を1つの話に入れ、なおかつオチがある作品です。
出されたお題は「忖度」「一石二鳥」「トランプ」。本来の意味でなくても、使ってさえいればOKです。
私は「ケモノ小学校埼玉校」のキャラクターを使って、次のような話を書きました。
※原文ではお題を丸で囲っていますが、こちらでは『』でくくっています。
※この作品は「ケモノ小学校埼玉校」を知らない教授が読む事を前提としています。
※本作はねおじむユニバースに含みません。
[newpage]
[chapter:三題噺~忖度、一石二鳥、トランプ]
ある日の夕方、下校中の小学4年生が住宅街を2人並んで歩いていた。
日焼けしたような色の太った男の子の栗田 永雄くんと、スマートで色白な女の子の金子 真里ちゃんだ。
2人は部活動の話をしている。
「ねえ真里ちゃん、音楽部って楽しい?」
「ええ、もちろん。いろいろな曲が弾けるし、月に1度はコンサートを開いてみんなに聞いてもらえるから『一石二鳥』よ。
栗田くんは相撲部は楽しんでるかしら?」
「もちろんだよ!いろんな決まり手を教えてもらえるし、全力で相撲を取るのは最高さ。
終われば汗だくになるけど、シャワーを浴びれば大丈夫!」
「でも格闘技だから、けがをする事もあるわよね?」
「そりゃあ、骨折や捻挫なんかは時々あるよ。でも努力した証だと思えば平気だよ。
ぼくは将来は角界にデビューしてみせる!」
栗田くんは笑った。笑うと出っ歯が目立つ。
「私も長い時間ピアノを弾いていると、指が痛くなるわ。
でも私もこれを乗り越えてこそ、夢に近づけると思うの。人気が高く、テレビ出演も当たり前の有名ピアニスト!」
「素敵な夢だね。」
「まあ、そうなるには他にも努力が必要だわ。『忖度』とか難しい言葉をたくさん知ってボキャブラリーを増やすとかね。」
その時、栗田くんのお腹が鳴った。
「ああ、おやつの時間だ。ぼくの好物のくるみのケーキが待ってる!」
栗田くんはとても嬉しそうに太いしっぽを揺らした。
「私も弟と『トランプ』して遊ぶから、もう帰るわ。栗田くん、また明日ね。」
「真里ちゃん、バイバイ!」
シマリスの栗田くんと白猫の真里ちゃんは、それぞれの家に帰って行った。
人間並みの文明を持った動物たちが暮らす異世界のとある夕方は、今日も平和に過ぎて行った。
[newpage]
[chapter:あとがき]
講義の前にも何度か下書きをしています。
初稿では栗田くんと稲荷山くんの会話でした。第2稿で稲荷山くんを真里ちゃんに変更しました。
3つのお題は講義当日までシークレットでしたが、会話に入れやすい物ばかりだったため順調に執筆が進みました。
この作品はB判定をもらいました。
教授からは「大したストーリーテラーで、センスがある。しかしオチが少し唐突に思える所に弱みを感じた」(要約)とコメントを頂きました。