凸凹の関係

  秋も深まり木枯らしが辺りを自由に吹きまわる。

  その乾いた風を感じながら教室から校庭を見下ろす。そしてペットボトルに入った水を飲むと乾いた喉を潤してくれる。

  「はぁ~・・・今日も寒いな」

  俺は、熊原 良彦(くまばら よしひこ)。赤茶色の熊獣人で立派な高校一年。そう、立派な高校一年なのだ・・・

  でも、残念なことに俺は背が小さい。そう、背が小さい!それ故によく馬鹿にもされるし、小学生にも間違われる。150cmなんて小さ過ぎるもんね。背が伸びる様に一生懸命食べてるが、横に太くなるだけで縦には伸びず、今では70kgと重たい体になった。この年にもなってこんなにも身長が伸びないとなると、もう諦めるしかないかもしれない。

  「はぁ・・・」

  その事を考えるとついつい溜息が出る。もうちょっと大きくなりたいな。

  「おいおい、溜息だすなよ。幸せが逃げるぜ」

  ポンッ

  頭に温かい温もりを感じて、後ろを振り返る。

  「背が小さくて嫌だなぁって思ってさ」

  「小さいままでもいいと思うぞ」

  そう言う虎人は優しく、それでいて無表情でそう言ってくれる。

  虎獣人の虎賀里 劉也(こがざと りゅうや)。白地に黒の縞々に灰色のTシャツに白のワイシャツ。学ランの前はだらしなくはだけていてワイシャツの上からでも筋肉質のお腹が見えて、暗い藍色のネクタイが不釣り合いに見える。そんな彼は巨体で、そばに居る俺は余計に小さく見える。180cmという高さから、俺は見上げて話さないといけないから首が疲れる。

  「んで、もうそろそろ帰らせて欲しいんだけど・・・」

  仏頂面の劉也は鋭いく漆黒の瞳から俺を見下ろしてそう言う。

  「何言ってんだ。君が赤点ギリギリの点数しか取ってないのが悪いんだろ!そんなこと言ってる間にさっさと問題解け!!」

  「勉強したって役に立たないからもういいよ」

  「そんなことを言えるのは、全部の学問をマスターした人しか言えない!赤点取ってる様な奴が言えるセリフじゃない。ホラ、次の問題!!」

  俺の言葉に渋々机に向かう劉也。可哀想だけど、仕方が無い。

  彼は普段と変わらない鋭い目で教科書と睨む。

  普段は寡黙で、怒っているのか笑っているのかわからない。だから、クラスのみんなとはあまり関わりが無い。でも、悪い奴じゃないから皆から嫌われてるわけでもない。

  「おい!ここ、どうやって解くんだよ」

  俺との時は妙に口が悪いけどね。でも、気にならない。昔からだから慣れてる。

  

  実は、俺と劉也は幼馴染なのだ。

  これを言うと大抵の人はなぜか驚く。

  そんなマイナーな関係でも、珍しい関係でもないはずだ。むしろ小説や漫画なんかではお馴染みの設定に等しい。それなのによく驚かれる。

  小学生から今の高校生まで、ざっと9年は一緒の学校で暮らしてる。だからお互い大体の事はわかる。

  

  「あれっ!?・・・わかんねぇ」

  だから劉也が勉強できないのも知っている。だから、その勉強に付き合ってあげているのだ。イライラするけどさ・・・

  「教えてあげるために僕が居るんでしょ?諦めないでよ」

  「イライラするなって」

  「してないよ!」

  「言葉が崩れてるぞ」

  「っ!・・・別に劉也の前なんだからいいでしょ!!」

  そう、俺・・・いや、僕は背が小さくてバカにもされる事がある。だから表面だけでも見栄を張ってるのだ。馬鹿馬鹿しく思うかもしれないけど、見栄ぐらいは張っても罰は無いはずだ。でも、劉也の前だけはどうも言葉が崩れる。

  「そんなことばっかり言ってると勉強見ないで委員長の仕事するよ?僕だって暇じゃないんだから」

  「・・・すまん」

  普段の劉也なら、『別に構わない』とか言っちゃうんだろうけど、今回ばっかしはそうはいかない。

  テスト後にある修学旅行。

  このテストを落とすと再試がもちろんあり、それは修学旅行の欠席を意味する・・・と言っても、それはこの学校の昔の話。最近になって緩くなったのか、修学旅行には行けることには行けるらしい。でも、素直に楽しめないよね。

  そんなこんなで、僕は劉也の勉強に付き合ってあげている。

  「ココがよく分かんない・・・」

  「・・・さっきと同じだよ」

  どうやら相当骨が折れそうだ。

  良彦は溜息をつきながらも劉也の勉強を見続ける。

  

  

  「無事に試験も通ってよかったな」

  「あぁ・・・」

  そんなこんなで6時間程かけて着いたのは旅行先のホテルの食堂。

  1クラスがだいたい30人の3クラスなので、この食堂には教師含めて100人近くがいる。

  そんな沢山の中で、僕と劉也は同じグループの他の二名の獣人とバイキングを楽しむ。

  他の人も居るから僕と劉也はいつもの通りに会話して表を繕う。素が出せればいいけど、なんだか出すのが憚れる・・・

  「おい」

  「ん?」

  「飲み物取ってくる・・・・・・一緒に取ってくる」

  「そう?じゃぁお茶取ってきて」

  いきなり劉也が言うので驚きつつも好意をうける。なんだかんだで優しいのだ。

  劉也が席を離れるとグループの一人が話しかけてくる。

  「熊原ってさ、虎賀里に好かれてるよな」

  「そんなことないよ。アイツはいつも優しいよ」

  「そうだろうけど、飲み物を率先して取って来るようなことをするのは熊原だけだぜ?」

  そうなんだろうか?

  「そうか?頼めば持ってきてくれるだろ」

  僕がそう言うともう一人が首を横に振る。

  「わかってねぇな。俺が証明してやるよ。

  おーい、虎賀里~」

  何をどう証明するのか、丁度帰ってきた劉也に一人が呼ぶ。

  劉也はあからさまに不機嫌そうな顔で僕らのテーブルにやってくる。

  「俺らの飲み物も持ってきてくれよ」

  「断る」

  即答だった。僕にお茶の入ったコップを差し出しながら椅子に座る劉也は呆れた様な顔をしている。僕は不思議に思って聞いてみる。

  「なんでダメなんだ?別に構わないだろ?」

  「まだ残ってる・・・それに、タイミングが悪い。それだけ・・・・・・」

  「ホラな?」

  「たまたまだって!」

  僕との会話の意味が分からず劉也は首を捻るも、すぐに料理に夢中になる。ぶっきら棒な顔してるが、面白くなさそうなのは長年の経験で感じ取れる。

  ごめんね、劉也・・・

  「二人共もしかして付き合っちゃってるとか?」

  「な!?」

  「べふぉ!?」

  僕より劉也の方が驚いたようで食事を喉に詰まらせていた。

  「大丈夫か?」

  顔を真っ赤にした劉也はなんでもないと言わんばかりに首を縦に振るが、とてもじゃないが大丈夫そうに見えない。

  「おっと、ごめんよ。まさかそんなに驚くなんて・・・」

  「全く・・・劉也が苦しそうじゃないか」

  「変な冗談は言うもんじゃない」

  珍しく劉也から文句が飛ぶ。でも、二人は詫びれる気は無い様だ。

  「いや、でも十分お似合いだと思うぞ」

  「仲良いしな」

  「そんな!止めろよな、男同士なんて・・・気持ち悪い!それ以上に吐き気がするだろ!!そんなの考えたくもない」

  「っ!!」

  「それはちょっと言い過ぎじゃ・・・」

  つい言い過ぎてしまった。場の空気が悪くなったのを感じる。三人とも黙ってしまう。

  どうしたものか・・・そうだ

  「いや、なんていうか・・・これって普通の反応だし、こうとしか言いようがないと思うんだ。

  だって考えてもみろよ!ホモか?って聞かれて『はい』って答えられるヤツってどれだけいる?大体は隠し通すことだろ?それだったら否定するだろ。

  それにただ否定するだけじゃない筈だ。だから、みんなこんな感じでそうじゃないって言うと思うんだ」

  自分でも何を言ってるのかわからないが、早口で捲し立てたお陰で、みんなにはちゃんと理解できなかったようだ。

  「ま、まぁお前が言うんだから間違ってないのかもな。よく分かんなかったけど・・・」

  よし、後もう一押し!

  「もう一回言う?」

  「止めとくよ。お前ほど頭良くないんでね」

  自分でもよくわかんない事言ってたのになんとか納得させた。こう言っちゃ失礼だけど、三人とも馬鹿で良かった。

  なんとか窮地を脱出すると先生の声がかかり食事の終了を告げられる。良彦と劉也は自分の部屋に行くと次の日に備えて早めの睡眠をとった。

  

  

  次の日になり、厚い雲で覆われている空の下で、良彦率いるグループは自由行動で名所を巡っていた。天気以外は問題ない状況の中、良彦だけはひとつ不安を抱えていた。

  「熊原~ もうホテルに戻った方がよくないか?雨降りそうだし、時間もソコソコにやばそうだけど」

  グループの一人に言われ、空と腕時計を確認する。

  「そうだな・・・ココは明日の自由時間に回して今日はここまでにして引き返そう」

  「・・・」

  僕の提案に劉也は無言で頷く。

  昨日からこうだ。寝る時も起きた時もどこか不機嫌だ・・・

  何かやらかしたかな?

  「劉也?」

  「なんだ?」

  「なんで不機嫌なんだ?」

  「別に」

  これはかなり怒ってる様だ。

  ここまでやる気のない返答は相当ヤバそうだ・・・

  タクシーを拾い、ホテルまで向かう間も何が劉也を怒らせたのかその理由を考えていた。

  そうこうしている間にタクシーはホテルの近くに近づくが、ホテル前の道路がかなり混んでいた。暫く動きそうになさそうだ。

  腕時計を見るともうそろそろホテルに着いていないといけない時間。歩いて行った方が早いかもな。

  「みんな、ここで降りてホテルまで歩いちゃおうぜ!天気がいつ崩れるかわからないし、このままじゃいつ着くか分かんないし」

  僕の提案に三人は同意してくれ、タクシーの運転手にお礼を言うと外に出る。空からはゴロゴロと雷の音までする。

  そんな中を暫く歩いていると雨が降り始める。最初はただの小雨だったのが、いつの間にか豪雨になり僕らは走ってホテルに向かう。

  他の走る人にぶつからない様に走るのは中々神経を使い、ただでさえ苦手で遅い走りを余計に助長させる。

  「熊原!早くしろ!!」

  「先行ってろ!・・・うわっ」

  グループの一人にそう言うと通行人とぶつかり派手に転ぶ。

  「イタタ・・・」

  転んだ先が悪く、深い水溜りに転び込み、一瞬で洋服がびしょ濡れになってしまった。リュックが水溜りに落ちなかったのが唯一の救いだ。疲れた体で立ち上がろうとするが、普段から運動が苦手な僕は予想以上に疲れていて体に力が入らない。

  「大丈夫か?」

  「うん」

  劉也が手を差し伸べてくれる。それに応えるため、掴まって頑張って立とうとすると足に痛みが走りまた地面に倒れる。どうやら転んだ拍子に足を捻ったようだ。踏んだり蹴ったりで悲しくて、情けない・・・

  「ごめん、立てそうもない。先行っててよ」

  「安心しろ」

  僕の言葉をさらっと受け流して、僕のリュックを持つと僕を背負う。

  「ちょ、ちょっと!!そんな大げさにしなk「いいから黙って掴まってろ」

  僕の声を遮ると、しっかりとした足取りで豪雨の中をゆっくりと歩く。

  冷たい雨が服に浸みて重くなっていく。劉也は相当な重さの僕とリュック二つを持って、造作もない様に歩く。

  「ごめん・・・」

  「気にするな」

  冷たい雨の中、劉也の体温が背中を通して僕を温めてくれる。恥かしいけど、嬉しくて、温かくて、安心する・・・その温かさと揺れが僕を眠りへと誘う。

  「りゅう・・・やぁ・・・・・・」

  「良彦?」

  劉也の背中で、良彦は疲労のため眠ってしまった。劉也は起さない様に静かにホテルに向かった。

  

  

  「ん・・・」

  「目が覚めたか」

  目が覚めるとホテルの寝室に居た。

  ベッドの端に劉也が座っており、静かに僕に問いかける。僕は寝起きでショボショボする視界を手で擦りながら時間を聞く。

  「ごめん、寝てた・・・今、何時?」

  「夜6時の十分前。二時間ぐらい寝てた・・・」

  結構寝ちゃってたなぁ・・・にしても寒い。

  「ちょっと寒くない?」

  「それは服着てないからだろ」

  「へぇ・・・えぇーーーーー!!」

  掛け布団の下を覗いてみると素っ裸だった。

  「おいー!!な、なんて事を!裸にするなんて///」

  「冷たいまま放っておくわけにはいかないだろ?別に減るもんじゃないし、昔から見てるじゃないか」

  「そうゆう問題じゃない!・・・うん、その・・・・・・///」

  確かに小さい頃から一緒にお風呂に入ったりしてるから恥かしくはない。でも、そこはデリカシーというか、恥じらいというか・・・

  もうちょっと気を使ってくれてもいいでしょ!

  コンコン・・・

  「おーい、二人共!!そろそろ食堂行こうぜ~

  遅刻しちまうぞ」

  部屋の外からグループの一人が声を掛けてくるので、僕は急いで替えの服を着て食堂に向かうために部屋の外へ出る。

  「熊原!目覚めたか~」

  「あぁ、悪いな。突然寝ちゃって・・・点呼とかもそっちで済ませてくれたんだろ?」

  「まぁな。そんな大変じゃなかったから気にすんなって!それに幸せそうに寝てるお前を起すのは気が引けるしな」

  「幸せそうって・・・そんな訳ないだろ!」

  「はいはい、違うのね。わかったわかった」

  「全然わかってねぇじゃねぇか・・・」

  二人は僕と劉也を見ながらニヤニヤする。そして、劉也はちょっと不機嫌そうにそっぽを向く。

  全く・・・一体なにがなんなんだ。よくわからないな。

  そんな訳がわからないまま夜ご飯を済ますと、グループの班長の集まりで担任の元に向かう。

  

  

  30分ちょっとの会議。

  明日の各自のグループの行動、注意点、点呼時間の確認と変更などなど・・・

  正直、淡白で機械的な話ばかりで面白くなくて欠伸が出る。

  劉也とどっか行って遊びたいなぁ~

  ホテルのロビーで貰ってきたパンフレットとグループの行動範囲を眺めながら良彦は考える。

  「熊原!」

  いきなり大声が飛んできて10cm程体が垂直に飛び上がる。

  「はい・・・なんですか?」

  「当日のグループの行動はどうなってるのか聞きたいんだが・・・」

  「すいません」

  胸のバクバク音を無視しながら担任にグループの行動を伝える。同じように他のグループに聞いて行き、今日の会議は終わった。

  退屈な時間でダルくなった体を引き摺って部屋に向かう。部屋に行く前に、同じグループの二人の部屋に行き、会議での内容を手早く伝える。

  そして自分と劉也の泊まる部屋の前に着き、ドアを開けようとするがドアチェーンがかかっている。

  コンコンッ

  「劉也!開けて!!」

  隙間から部屋の中へ叫ぶと慌しい足音が中から聞こえる。扉を閉めるとすぐに鍵が外れ、扉が勢いよく開く。そこにはなぜか上半身裸の劉也が息切れしながら立っていた。

  「なんで息が切れてんの?」

  「いや、風呂上がりだから・・・」

  「風呂入ったぐらいでそんなに「別に構わないだろ!!」

  僕がいつもより深く聞き出そうとするといつもと少し違う声で怒鳴る。

  部屋には沈黙が下りて、劉也は気まずそうにベッドに腰掛けて俯き、良彦も気まずくなりチラチラと劉也を見てはどうしようかと考える。それ以上に、いままでと違う反応に良彦は困惑と心配を覚えていた。

  

  何かマズイことでもあったのか・・・

  嫌な事でもあったのか・・・

  

  どれにしても、昨日からの劉也の行動がどうにも不自然でおかしい。

  劉也の事が心の底から心配だった良彦はもう一回思い切って聞いてみる。

  「ねぇ、どうかしたの?

  何か僕が悪い事言ったなら謝るよ」

  「・・・」

  僕の言葉に顔をあげて僕を見るものの、すぐに俯いてしまう。

  「せめて、何があったのかぐらいは教えてよ」

  「その・・・・・・驚かないか?」

  「驚かないよ」

  「ホントか?」

  いつもの胸張った態度と違い、オドオドと怯えるような感じを見せる。どうしてここまで劉也の態度が変わったのか知らない。でも、何か悩みがあるなら手助けしてあげたい。

  「あのね~・・・幼馴染なんだよ?今更何をどう驚くっていうの?良いから言ってみなって」

  僕がそう言うと突然ベッドから立ち上がる。そして、座る僕の前に真剣な顔で立つ。

  今までに劉也が真剣な所は何度も見てきている。

  不良に絡まれたり、高校受験した時や僕が階段から転げ落ちた時・・・・

  その今までの表情とは違う。見た事が無い程に真剣な目だ。

  「どうしても知りたいか?」

  「う、うん・・・」

  僕が頷く。すると肩を掴まれベッドに押し倒される。

  「ちょ!りゅ、ん!?」

  「ふ・・・ん・・・・・・」

  声をあげようとすると劉也にキスをされる。力を入れても劉也が相手では無力。僕は成す術無くされるがままにキスをされる。僕は抵抗するのを諦めて劉也に任せる。

  僕が抵抗しないと判ると、口の中にヌルリと舌が入って歯茎をザラザラの舌でなぞる。僕は初めての感覚に頭がボーっとして無意識に声を出してしまう。

  「あ、はぁん・・・・・・んあ?」

  不意に息苦しさがなくなり、僕はなぜか不本意と言わんばかりの声を出す。

  「俺はお前が好きだ。だから付き合って欲しい・・・」

  「っ!?い、いきなりそんな事言われても!だって、僕は男で・・・君は」

  僕はここまで言って声を出すのを止める。

  劉也が欲しいのは、一般的な男女間でしか恋愛が通じないと言う概念じゃない。僕と付き合ってくれないか。という答えが欲しいんだ。僕は答えなきゃいけない。

  「良彦?」

  「僕は・・・君の事を恋愛対象として見て無い。だから付き合うことは出来ない」

  「・・・そうか」

  「でもね・・・・・・君の事が嫌いなわけじゃない。もしかしたら君の事が好きになるかもしれない。だから、その時はヨロシクね」

  どう言えば良いのかよくわからず、付き合う事を容認する様なことを言ってしまう。

  付き合うつもりはない。でも、劉也に好かれたのは嬉しい・・・

  「じゃぁ俺はお前を好きにさせてみせる。だから・・・このままお前のこと、好きのままでいてもいいか?」

  「もちろん///」

  む~・・・なんだか恥かしい。・・・というか、こんなこと真顔で言うなんてズルい!

  顔が熱を持ち始めるのを感じて腕で顔を隠す。でも、劉也が優しく腕を退ける。劉也は笑っていた。

  「ありがとう!絶対に惚れさせてやるからな」

  「望む所」

  「というわけで続きをしよう」

  どうゆうわけだ!

  そう反抗しようとすると、またキスをされるが、さっきと違って荒いキス。

  「劉也?なんで・・・」

  「惚れさせるためにも協力してくれ」

  「そんの出来ない!!あうっ!?」

  「そんなこと言ってるけど、お前のは収まりつかないみたいだけど?」

  劉也は僕の固くなったモノを握る。初めて他人に触られて、こそばゆい感覚に襲われる。

  「そ、それは!」

  「さっきのキスで気持ち良かったんだろ?」

  「違うよ!」

  「じゃぁなんで固くなってんだ?何よりの証拠だろ?しかも握ってるだけで気持ちいいなんて相当物好きじゃねぇか。先走りがどんどん漏れちゃってるぜ」

  劉也が僕のモノを扱いていると、クチャクチャと粘着質の音が部屋に響く。その音は耳と体を通して確実に僕を追い詰める。僕の理性がガリガリと削られて、快感に支配されるのを感じる。

  「あっ・・・あぁ、んぁ!りゅ、りゅうや~」

  「ん、どうした?」

  一生懸命声を出すが快感でうまく喋れない。劉也は僕の反応を楽しむようにニヤニヤ顔で僕を見て、扱く手をより早く動かす。僕は劉也の空いた手を握って一生懸命に快感に抗おうとする。それでも、段々と射精欲が僕を突き動かす。

  「ぼ、僕・・・もう出ちゃうよ!」

  「それは大変だな。今すぐ止めないと」

  「え、あ!・・・うん」

  でも、今ここで止められたら・・・嫌だ。出したいよ!

  「どうした?」

  「その・・・///」

  「イきたくないんだろ?」

  「その・・・い、イきたい、です///」

  いざ、イきたいことを言うのはかなり恥かしい。そんな僕の心情を判っている劉也は僕をもっと弄る。

  「イきたい割には嫌だとか言って、一体どっちなんだよ。ホントは出したくないんだろ?もう、寝ちゃえよ」

  あまりにも残酷な言葉に一生懸命首を振ると、劉也は何か考えるような仕草をしながらこっちを見る。

  「そんなにイきたいか?」

  コクッ・・・

  すぐに頷くと劉也は服を全部脱いで、僕の残った服も剥ぎ取ると立ち上がる。

  目の前には劉也の僕よりでかくて雄々しいモノがピクピクと律動しながら透明の液を零しているモノがあった。

  僕は初めてのモノに唾を飲む。

  「俺のチンポがそんなに気に入ったか?」

  「あ、ちがっ」

  「違くないだろ。顔赤くして見惚れてんだからさ。ホントのこと言っちゃえよ。

  触りたいって」

  「触りたくない!この変態!!」

  「変態で結構!ムッツリ熊さん♪それに、ちゃんと言わないとイかせてやらないぞ?」

  「うぅ・・・///」

  くそ!調子に乗りやがって・・・・・・

  しかし、劉也は僕の体を弄って微弱な快感を送り続けて、うまく反論できない。いや、したくない。イかせてもらえるならそれでいい。

  「しょうがないな。先にイかせてやるよ」

  そう言うと劉也は僕のを口に含んで舐めはじめる。ザラザラの舌が亀頭を中心に撫でまわして僕の理性を壊しつくす。

  「はぁあん!!む、んぐ」

  僕の口を劉也の手が塞ぐ。気持ちよくて自然と声が出てしまう。隣の部屋に聞こえちゃうぐらい大きな声がでちゃう・・・

  さっきイけなかった分、さっきより快感が大きい。自然と腰が動いて体が強張る。

  「んふぁぁぁ!!」

  僕は劉也の口に射精する。初めての感覚に体がぐったりする。劉也は僕の頬を撫でて二コリと笑う。

  「気持ちよかったろ?」

  「うん・・・///」

  「さぁ次は俺の番だぜ」

  「え・・・いや、もう・・・」

  「お前だけってのはズルいだろ?」

  そう言って僕の前にさっき同様デカいチンポを差し出す。

  僕は何も言われずに、自らそれを口に含んで自分にされたのを不器用に真似る。

  「なんだ、ちゃんと出来るじゃねぇか。しっかりしゃぶれよ」

  そう強がっているものの膝がガクガクと笑っているのが視界の端に映る。もっと余裕を無くしてやる。こんな所まで馬鹿にされてたまるか!!

  僕は吸う力を強める。

  「おうっ!!いきなりだな・・・ぐぅ!」

  息が荒くなる劉也を見上げて嬉しくなる。

  ふっ・・・僕をバカにした罰だ。

  しかし優位に立ったのは一瞬で、劉也は僕の頭を掴むと腰を勢いよく降ってくる。喉を突かれて嗚咽が漏れるが劉也は気にしないで行為を続ける。

  そうしていると唐突に終わりが訪れる。

  「良彦!もう、出る・・・・・・うがあああああ!!」

  「うぐぅ!?げほ・・・ゴホゴホ!!」

  中で劉也のモノが弾けて口に青臭い匂いとドロドロした精液が満ちる。あまりにも突然で吐き出してしまった。

  「すまねぇ・・・」

  「せめて、言ってよね。苦しかった・・・」

  「飲んじまえばよかったのに」

  「バカ!・・・大体君が・・・・・・悪いんだ///こんなことして・・・」

  くそ~・・・恥かしい!途中から理性が飛んでたとはいえ、こんなことするなんて・・・

  劉也が僕をベッドに寝かし、その横に並んで寝転ぶと一枚掛け布団を掛けると頭を撫でてくる。

  「悪い。でも、どうしても我慢出来なかった。

  それにお前も気持ちよかったろ?」

  「そうだけど、それとこれは別問題」

  「ちぇ・・・簡単に落ちると思ってたのに」

  「何言ってんの・・・」

  そうは言うものの、やってる最中も、そして今のこの空気も嫌じゃない。もしかして僕は劉也が好きになったんだろうか。

  僕が劉也を見ていると何をどう勘違いしたのか目を瞑って顔を近づける。なんだキスしたいのか・・・

  「勘違いすんな!!」

  べしっ!

  「痛ッ!!なにしやがる!キスしたかったんだろ!?」

  勘違いする劉也の頬をそこそこに力を入れて叩いてやる。するとつまらなさそうに溜息を吐く。

  「ちょっとぐらいキスしてくれてもいいじゃねぇか」

  「確かにさっきまでは『少し』カッコよかった。でも、そう見えただけ」

  「なんだよそれ・・・」

  僕の言葉に満足がいかない様だ。

  「取り敢えず寝よう。疲れたし、明日はそれなりに早いんだから」

  「そうだな」

  そう言って僕がベッドから出ようと立ち上がる。が、腕を掴まれてまたベッドに引き戻されて劉也に抱きしめられる。

  「何ももう一つのベッドで寝ること無い。ここで寝ようぜ」

  「でも・・・」

  見上げて劉也と視線を合わせると言葉を失う。

  今の劉也の顔がとても凛々しく、男らしく、優しい笑顔がそこにあった。それを見て、もう少しだけ見ていたい・・・もう少しだけ劉也を感じたい。

  そう思うと、僕の胸が大きくドキッと鳴って、体の芯が熱くなる。それを誤魔化す為に俯きながらもベッドに横になって劉也の反対側を向く。

  「うん///・・・」

  「おっ?やけに、素直じゃないか。ひょっとしてh「惚れてない!・・・今日だけだからな」

  僕はそう言って羽毛の入ったモコモコの羽毛布団を肩まで掛けると眠りにつく。

  

  劉也と付き合ってもいいかな・・・

  

  眠る前に良彦はそう感じた。

  知らず知らずに二人は眠りながらもお互いを抱きしめ合っていた。

  

  

  昨日の夜の出来事が無かったかのような、清々しい朝と透き通った日光が街を照らす。

  そんな晴天の中、昨日回れなかった神社に向かう。

  「おーい、二人共!グズグズしてると昨日みたいに見学場所を回れなくなっちまうぞ~」

  30度という急な300段ある階段の上の方でグループの一人が叫ぶ。無駄に元気な奴め・・・

  「良彦、大丈夫か?」

  「大丈夫・・・先行って、って上の二人に伝えてきて」

  僕の言葉に頷くと劉也は階段を駆け上る。

  僕は無心で上り、登り切ると近くのベンチに座る。ゼェゼェ言ってる自分の呼吸を早く止めるために深呼吸したりする。他の三人は僕の到着を待っていたらしく、お土産とかを買っていた。三人は僕の元へやってくる。

  「熊原、お堂の中に入らねぇのか?」

  「ついてすぐになんか動けるか!取り敢えず二人だけで行ってこい!俺と劉也は後で行く」

  「そう?じゃぁ先行かせてもらうよ」

  二人はなんとかっていうお堂に向かう。

  それを見てると頬に冷たいモノが押し付けられる。横を見ると劉也がいつもの表情で僕にジュースの缶を差し出す。

  「ありがとう」

  「ん。それと汗拭いとけ」

  そう言ってハンカチを渡される・・・・・・ん?劉也ってハンカチ持つような人だったけ?・・・まぁそんなこと考えるのは野暮かもね。

  良彦は渡されたハンカチを使って汗を拭うが、何かが変だと感じる。それを広げてみようとすると劉也が慌てて止める。

  「ちょっとそれ返してくれ!!」

  怪しい!

  「なんで・・・良いじゃん別に・・・・・・」

  ハンカチを広げてみるとそれはハンカチじゃなかった。薄い青の生地に青の水玉模様の・・・これ・・・どこかで・・・・・・ッ!?

  「ッ!?

  僕のトランクスじゃねーか!!」

  とてつもなく恥かしい単語が神社周辺に盛大に響く。

  劉也の鳩尾にパンチを喰らわせると、顔を真っ赤にした良彦は走ってその場を離れる。

  

  やっぱり劉也とは付き合えない!

  無理。絶対に無理!!

  

  そう思ったのだった。

  

  完