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【76】傍仕えハーフエルフの忙しない早朝。【閑話】

  ※お知らせ※

  本日二回目の更新です。

  前話【75】をお読みでない方はそちらからお読みください。

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  第二王弟、アディード・オレグラントの傍仕え。

  ハーフエルフのジャスパーの一日は、使役している半精霊に起こされる事から始まる。

  「・・今日の睡眠は3時間ですか・・いつもより少し多く寝てしまいましたね。何?疲れていたから起こす時間を少しずらしたと?はは。ありがとうございます。でもハーフエルフのわたくしなら2時間で十分足り・・はいはい。無理はしていませんから。いつもありがとうございますね「A」では今日も張り切ってアディード様のお世話を致しましょう」

  そう言って、いつもどおり支度を始めた。

  「洗浄魔法」で自身を身綺麗にしたらお着せを着用する。

  それは頼子の世界で言う燕尾服に近い装いで、上下とも色は品のある深い焦げ茶のような黒鳶。

  中に着た象牙色のシャツの襟下に通すのは、王族直属の使用人の印である深緑色のリボンタイ。

  黒い髪紐で銀の髪を纏め、真っ白な手袋をしたら身支度は完了だ。

  「「A」は厨房に行って用意される朝食の見張りを。「B」はいつも通り浴場の準備と監視をお願いします。「C」はわたくしと共に掃除に参りますよ。他の者は通常通り、情報の収集と精査をして後で報告を上げてください」

  「では解散」と告げ、ジャスパーは小さな魔石を空中にバラ撒いた。

  周囲に浮いていた半透明の半精霊たちは、それを音を発さずきゃらきゃら笑いながら回収してそれぞれの仕事に散っていく。

  ジャスパーは「C」と名付けた半精霊を引き連れて、主の私室へと訪れた。

  扉の前には覇気のない下級の騎士がいて、互いに片手を上げて挨拶をする。

  「おはようございます」

  「お~。おはよう。お疲れさん」

  「いつも通りですか?」

  「おぉ。今日は少ないぞ。一匹だな」

  「そうですか。ではこちら、いつものお礼です」

  「おぅ」

  騎士に何かを握らせながら、ジャスパーは「いつもありがとうございます」と言葉を添える。

  「いいって事よ。夜間警備の手当をもらいながら別途小遣い稼ぎできる上に、拘束時間は短いときた。楽な仕事は大歓迎だぜ・・しかし、良かったのか?侵入者に気付かないふりなんかしてよ」

  「その方が主を守るのに何かと都合が良いので、お気になさらず」

  「ま、こっちは貰えるもん貰えりゃ文句はねぇけどよ。厄介事は御免だぜ?」

  「ご迷惑がないように致しますので、また是非お願い致します」

  「そうかよ。それじゃ、次もよろしく頼むぜ」

  「ええ、わかりました。ではまた」

  騎士に丁寧に頭を下げ、見張りを交代する。

  簡易鎧をカチャカチャ鳴らしながら騎士が去ると、ジャスパーは早速仕事を開始した。

  鍵のかかっていない扉を開け、中に入ると壁にもたれかかって動かない使用人が一人。

  それを無視して、自分が居ない間に取り付けられた呪いの品や情報収集の魔道具を取り払い、処分。

  またはわざと残し、偽の情報を与えるべく記録された内容を書き換えて放置する。

  次に「C」と協力して魔法を併用しつつ掃除を開始。

  同じく仕掛けられた毒やら薬やらを綺麗に片づけて行く。

  途中、主が居るとされる寝室へと続く部屋の扉に施された偽装魔術や防護魔法が破られていないのを確認。その後、通常の清掃を始めた。

  部屋が塵ひとつなく片付いたところで、ジャスパーはようやく壁際の使用人に目を向ける。

  「全く、最近の雇用審査はどうなっているのか・・手癖の悪い者が少し多いですね」

  意識の無い使用人の襟首をつかむと、入り口とは別の扉に足を向けた。

  そこは通常なら、使用人の待機場所として与えられた小さな部屋・・の筈だ。

  だが、一歩踏み入れたその部屋はとてもそうは見えない。

  何もない。

  何もないのだ。

  そこはただ石壁に囲まれただけの、無機質で空虚な場所だった。

  ジャスパーは使用人を部屋の中央へ引きずって置くと、半精霊が灯した明りの下で淡々と服を脱がしにかかる。

  胸元がはだけた所で、使用人が女性であることに気付いたが、手を止めることは無い。

  上着を脱がし終えたしところで、どうやら目を覚ましたらしい使用人が声を出した。

  「ちょっと・・何、して・・」

  「あぁ。気が付きましたか。おはようございます」

  「誰?何を・・」

  「わたくしは傍仕えのジャスパーと申します。お仕えしているのは第二王弟のアディード様でございます」

  「あっ・・わたし、ごめんなさっ・・まが、魔が差して、ついっ!」

  「言い訳は無用です。見張りが寝ているからと部屋の鍵を開けて侵入した時点で黒ですが、性別を偽っている点で真っ黒。調度品を持ち出そうとしたのでどす黒です」

  「それはっ・・え、何で、動けない?!」

  逃げようとしたのだろう。体を動かそうとした女は自身の異常にようやく気が付いた。

  「今頃ですか?ふむ・・どこかの貴族に雇われたのかと思いましたが・・単なる盗人の可能性が出てきましたね」

  「ちょっと、何で動けないのっ!わたしに何する気っ?!」

  会話をしながら、どんどん服を脱がされている女は焦って声を上げる。

  「あぁ。部屋にある物を持ってドアノブに手を触れると四肢が麻痺して動けなくなるんですよ。昏倒もおまけに付きます」

  「な・・泥棒対策に普通そこまでする?!」

  「主人の護衛は一任されておりますので・・さて。「何」をするか、ですが・・」

  そこまで言って、ジャスパーは白手袋を外した素手で女の頭を掴んだ。

  「もちろん尋問です」

  全ての衣服を剥ぎ取られた女の身体が、その言葉にビクンっ!と跳ねた。

  〇・〇・〇・〇・〇・〇・〇・〇・〇・〇

  それから約15分後。

  全身に汗を掻き、尻を愛液と尿で出来た水溜まりに浸した女は恍惚の表情でピクピクと小さく跳ねていた。

  手に着いた雫をピッと振り払ったジャスパーは「ただの盗人でしたか」とつまらなそうに言うと、汚れた両手を洗浄魔法で綺麗にして白手袋を着ける。

  続いて横たわる女にも洗浄魔法を掛けると、靴のつま先で軽くつついて「ほら、起きなさい」と声を掛けた。

  口頭による誓約を結んだので、もう主であるアディードの害になるような事は出来ない。

  破れば痛みが伴い寿命が減るのを自覚する。そういう誓約内容だ。

  つつかれ、はっ!と意識を取り戻した女は起き上がり、自身が裸なのに気が付いて慌てて両手で胸と股間を押さえた。

  焦る女に「もう服を着て行っていいですよ」と扉を指し示す。

  「え・・あの・・あたし、牢屋に入るんじゃ・・」

  「鈍い人ですね。今日の事は大目に見ると言ってるんです。今後は真面目に働いて罪を償うんですね」

  「さっさとしろ」と、ひらひらと手を振って示すが女は動かない。

  訝しんだところで、女は裸のままさっと土下座の姿勢を取った。

  「・・・何してるんです?」

  「あの、どうかわたしを貴方様の下僕にしてくださいっ!」

  「・・間に合ってます」

  「何でもします!だからどうか、あの、さっきのアレを・・また!」

  ・・どうやら尋問で使った魔力操作の快感にハマったらしい。

  偶にだが居るのだ。無理やり魔力を操られ、イかされるのが堪らないと言う快楽中毒者が。

  ・・どこかの国の梟。その一部もそうらしいとは、偶に聞く話だったりする。

  あいつらさっさとくたばればいいのに。

  『今回は処置を短くして気を付けたつもり・・だったんですけどね』

  結果を見れば「つもり」止まりだったという事だ。面倒な。

  「あのっ!どうか!どうか!」

  「間に合ってます」

  懇願する女に淡々と却下を伝える。

  「お願いします!一週間・・いえ、1ヶ月に一度でも!」

  「間に合ってます」

  「半年!半年に1回でも良いですから!」

  「間に合ってます」

  素気無く却下され続け、涙目になる女。

  「う゛ぅ~」と唸り、絞り出すようになおも懇願する。

  「1年・・1年に1回で良いですからぁ~・・お願いじまずぅぅぅ!下僕にしてくだざいぃぃぃぃっ!」

  「・・・しつこいですね」

  どうやらよっぽど善かったらしい。

  自分が気持ち良くなるわけではないので『そこまで傾倒する事か?』といつも思う。

  全く理解出来ない。出来ないが・・便利なのには違いない。

  依然、伏せたままの女の背に溜息と共に言葉を投げてやる。

  「・・・2年です」

  その一言に女はバッ!と顔を上げ、差し込んだ希望に目をキラキラさせた。

  「2年に一度で良いのなら、下僕にしましょう。誓約も結び直してもらいますよ?」

  「はいっ!はいっ!よろしくお願いしますっ!」

  『これ以上の下僕は不要なんですがね』と内心で溜息を吐く。

  まぁ良いか。どこかで適当に使い潰して捨てよう。

  新しく絶対服従の精霊誓約を結び、服を着た女がぺこぺこと頭を下げて立ち去ると、姿を消していた半精霊たちが戻り集まって来るのだった。

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