第8話 苗床化の第一段階 触手なんて怖くない! 12
「くそ! やめろ! やめろよ!」
イチは既に四肢と胴体をダンジョンスクイの女王に絡めとられ無様にもがいている。
ダンジョンスクイの女王はイチを産卵の対象と見做したらしく、触手をイチの素肌に這わせ体の状態を確かめている。
イチはその気持ち悪さに無駄な抵抗だとわかっていてもどうにかして身体をゆすり拘束から逃れられないかと試みるが、どうも無駄な抵抗にしかならないようだった。
「やめろよ! そんなとこ! _____うぶっ!」
突如イチの唇に一本の肉色をした触手が押し当てられた。
どうやらその触手は先端が亀の頭のようになっていて、無理やりにイチの口をこじ開け口腔内に体液を注入しようとしている。
この触手は先端から麻薬成分のある体液を出し、獲物の身体を卵を産み付けるに適した状態にする。
苗床化の第一段階というわけだろう。
「_____ぐ_____くっ_____、おぶっ…………、えおっ」
イチはその習性を知っていたので絶対に口腔内に触手を侵入させてなるものかと歯を食いしばり抵抗していたが、顔に絡みつき鼻や首を閉めて呼吸を奪う触手に負けてついに触手の侵入を許してしまった。
触手は先端をイチの柔らかな頬の中にねじ込むとその瞬間に大量の体液を先にある鈴の口状の穴から噴出した。
「_____ごぼっ! _____かはっ! _____げはっ!」
イチは仄かな苦みを感じさせ、舌や歯茎に粘りつく体液の不快感に嘔吐感を感じ、一滴たりとも飲み込んでなるものかという意志でいたが、しかし、
「__________ごっ、_____ぐきゅっ、_______________!!」
止めどなく溢れ出るような体液の流れに耐えきれず遂に白濁とした毒を体内に入れてしまった。
「_____ぶへっ! はっ、はっ! くっ_____う」
イチの口から白濁液を先端から垂らす触手が引き抜かれ彼女のピンク色の唇を濁った色に汚した。
_____くっ…………そっ…………!
喉奥まで流れ込んだ白濁の毒は食道や胃の粘液から急速にイチの身体に染みこみ、そしてその麻薬成分によってイチの身体に妙な変化を与えた、
「身体が……………………熱、」
イチは急速に自分の脳から現実の感覚が失われつつあるのを感じ、そしてそれはイチの身体の奥底から妙な疼きを感じさせ始めるのだ。
気が付けば視界がぼやけ、呼吸は荒くなり、素肌を触手の先端がなぞるたびに甘く痺れるような妙な感覚を感じ始めている。
「じょ…………、冗談じゃ」
イチは自分の四肢からまるでエネルギーを吸われたように感じ始め、ダンジョンスクイの女王に一瞬拘束を解かれて地面に放り出された時にもその衝撃を一拍遅れて感じるほどであった。
「このや……………………うわっ!」
イチはその一瞬で女王に辛うじて握っていた右手のカーペイトで銃弾を叩き込もうとしたが、すぐさま壁から伸びてきたブヨブヨの触手に右腕を絡めとられて反撃の機会を失ってしまった。
そのまま壁の方に引きずり込まれるとすぐに首や胴体に同じような触手が巻き付いてくる。
これは兵隊の亜種で、壁に張り付き獲物を単に拘束するためだけの肉壁の役割を負っている。
この肉壁兵隊で拘束された犠牲者は身動きも取れずに女王から卵を植え付けられるか、孵化した幼体が栄養を補給するために生かされ続けるというわけだ。
「ちくしょう……………やめろ、やめろよぅ………………」
イチは蕩けはじめた頭で自分がもうどうにもならないところまで来つつあるのを感じている。
「_____っあ、やめっ」
それでもイチはどうにか拘束から逃れようと四苦八苦していたが、女王の細い触手にコートの前をはだけさせられ、シャツをも引き裂き白い質素な下着につつまれた胸を露出させられてしまう。
それだけでなく女王の細い触手はイチの黒いショートパンツを器用にずらして同じく白いショーツに守られた股間をも外気に晒したのである。
「やめろっ!! __________ひあっッッッッ」
怒号を飛ばしたイチだったが、先端に無数の繊毛がついた歯ブラシのような触手が彼女のショーツをなぞった瞬間に自分でも思ってもみなかった情けない悲鳴をあげてしまった。
「やめっ_____あっ__________やっ_____、くっ……………はっ、ぁ、ああ………………」
ブラシ触手の繊毛がイチの身体をなぞる度にイチは脳を痺れ差すような妙な痺れに身体を震わせた。
_____ちくしょう……………………、このままじゃ……………………このままじゃ。
既にイチは顔色も紅潮し、気づかぬうちに唾液を唇から垂らして荒い呼吸を繰り返している。
首や両腕、腹にブヨブヨとした触手が壁に埋める勢いで絡みつき、辛うじて拘束を逃れて今も格闘している右脚を除いて左脚までもが肉壁と一体化してしまっている。
そんな状態のイチを見てダンジョンスクイの女王はまた新たな手段でイチを嬲ろうと新たな触手をイチの下半身に伸ばそうとしているのであった。