「イヤッタ〜!!ハーピィ化!!人間の女のハーピィ化!!」
監獄と見紛う加工処理室に戻るとヴンダーカンマー、いわゆる珍品陳列室と言うべき剥製屋の支配人が鉄の扉から手枷をした10代後半くらい女を連れてきた。
女は魔悪犯罪、つまり魔化学での犯罪を働いた者らしく腰までの長さの髪が虹色のグラデーションに輝いている。
魔悪犯罪者は一目で分かるように一度でも犯罪を犯せば永久的に染髪と染爪、瞳もカラーコンタクトでも誤魔化せない虹色の光を放つように判決が下された直後に処理が施されるからな。
ちなみにハゲには毛束が植毛される。
植毛はただでさえ高額なのに羨ましい限りだ。
「魔悪犯罪者なのに加工刑なのか……。」
軽犯罪者は見世物として加工するにするにしても魔悪犯罪者を加工するということは生きた証を残すことになり、犯罪被害者としては絞首や拷問で手にかけたりするのが一般的なんだが。
ましてや仮に協共国指定の特定犯罪、特別犯罪者だとしたら協共裁判所内の直下処刑場に運ばれるはず。
「ええ、この方はかなり恨みを買っていまして、最大限生き恥と末永い苦しみを味あわせてほしいとの要望なんですよ。」
女の方を見ると裸に剥かれているにも関わらず、こちらを虹色にギラギラと輝く冷めた瞳を向けていた。
「おい女……クラウスにガンつけてんじゃねーぞ……」
ホルガーはホルスターに手をかけるギリギリの所でその青い瞳と白い犬歯を女に向けていた。
今にも唸り声を上げて飛びかかりそうな姿は黒髪の短髪も相まってドーベルマンのようだ。
「よせ、ホルガー。仕方ないさ、俺は白髪白眼の美丈夫だ……女達は端正な顔立ちの薄幸そうな男を見ると水が滴ってしまんだ。」
そう言って肩まである襟足を手でファサ……と梳いて首を振ると冷めた声が金属板に反響し、跳ね返った。
「く、クラウス様は随分とご自分の価値を高く見積もっていらっしゃる……はは……。」
おい支配人、俺は客だぞ。
「オッサン……悪いな、クラウスはこう見えて抜けているところがあるから……。」
そんなに引くよ……。
しょぼくれて口を尖らせると、女が突然口を開いた。
「相変わらずそうで安心したわ。クラウス。」
驚いて女の方を向くとそっぽを向いていた。
「クラウス……知り合いか?」
ホルガーは腰を屈めて臨戦態勢に入った。
「お連れ様、ご安心下さい。よくある事です。会話で聞き得た名前や情報を口に出し、刑の執行を遅らせてもらうように立ち回るのです。」
まあそうだろう。
『もしかしたら知人かもしれないから』として奴隷として飼われる事で生を長らえる。
俺に若い女の知人などいない。
「知らないな、こんな女。」
[newpage]
「それでは始めてまいります。『ケモノ化部別鳥類ハト目transfur処置に係る薬品』の投与に移ります。」
支配人は目を伏せたまま直立している女にジュラルミンケースから取り出した薬液入りの注射針を首と背、腰に刺していった。
すると、女はワナワナと震えはじめ手首から先に羽毛が生え、二の腕にまで羽毛が生え揃うと肘が変形し、新たな骨がメキメキと音を立てて翼を形成していく。
「ウォー!!キタキタ!!コレだよコレ!!」
ホルガーは興奮した様子で拳を握りしめている。
「この薬品の投与の前に『体積調整栄養剤』を点滴で投与しておくのです。そうしないと完全変態出来ず、中途半端なものになってしまいますから。」
説明中にも女の太ももは骨張り、肘から下が爬虫類や鳥類のそれのようにゴツゴツとした表皮に膨れ上がった後幅が縮小して固まり、鋭い爪が癒着して3本になった前の指と踵が鋭利にかわり新たな指となった部分から生えてきている。
「爪で蹴られたら、ひとたまりもなさそうだ。」
transfur中、女は叫び声を上げず肉と骨が切れては癒着し再結合する関節の軋む音と筋肉の断裂音だけが換気扇が回るゴウンゴウンという機内音と共に響いていた。
「おい女!!泣け!!泣き叫べ!!」
野次を飛ばされても女は口を開かない。
というよりもその唇は嘴のように皮膚が伸びて固まり、カタカタと噛み合わない上唇と下唇がカスタネットのように鳴っている。
「そろそろ大詰めです。翼が完全となりますよ。」
女は乳房と秘部だけを残して身体中が羽毛に覆われると、バキバキッと音を立てて思い切り腕であった部分を伸ばした。
「キィィィ!!」
甲高い絶叫と共に涙を流しながらハーピィとなった女は翼を広げて羽ばたくような仕草をして、膝から崩れ落ちた。
虹色輝く髪の毛を残して本来の髪色であったのか薬剤の色なのかは不明だが、真っ白い鳥人間となっている。
「これがケモノ化部別鳥類のtransfur処置に見られる『羽化の目覚め』にございます。必ずと言っていいほど出来たばかりの翼を羽ばたかせ、耳を劈くような囀りをしてみせるのです。」
成る程、抵抗として冷静に振る舞おうとしても無駄なのか。
「あ、そうだ。この女の名前は何と言う?」
支配人はバインダーに挟まれた書類を捲って目を凝らせた。
「えーと、アライダ。アライダですね。」
やはり知人ではなかったようだ。
受刑者、魔悪犯罪者の最後の悪足掻きだったか。
「オッサン!!アリガトなー!!」
よかった、ホルガーの機嫌も持ち直したらしい。
連れ歩くにあたってブウ垂れている状態では殺したくなるからな。
「それではクラウス様、加工刑の処置内容の加工決定権が700万エドル。そして執行特殊閲覧権が2名様合わせて5,000万エドル。計5,700万エドル頂戴致します。割引きはポイントカード発行より後日からのみご使用頂けますので、御了承下さいませ。」
[newpage]
「なあクラウス……怒ってるのか?」
別に怒る必要がないだろ、宿泊施設はタダで泊まれたし……。
ただ、協共銀行の預金が減ってしまったから貴金属類や宝飾類を現金化して共通通貨にしないと今後困るだけで……。
……なんだよ5,700万エドルって……。
製作工程見学ツアーでお連れ様もご一緒価格だったら後の金額も同じく2人セットの価格だと思うだろうが……。
はぁ……コイツといると金がかかる……。
……殺すか。
「いんげんげっぷ!!」
ホルガーの方を見ると備蓄塹壕の入り口にある音声認証装置に声をかけていた。
この備蓄塹壕は大戦中に使用された今は亡き小国の地下設備と繋がっている。
情報戦を見越して通信傍受が出来ぬよう無線機を立てなければ位置情報を把握されづらく、小国の秘密作戦の指揮系統の要であったからか非常に頑強で地震にも衝撃波にも強い。
おまけに武器弾薬庫や機械工作用機器パーツ保管庫、食糧庫まで付いており、地下水を利用した給湯施設と濾過上下水道設備まで付いている。
数ある備蓄塹壕……備蓄掩体壕の中でも最も頑強であり収集品の保管率も高い、俺の小さな城だと言ってもいい。
「いんげんもっぷ!!」
……敗北を喫し静かに歴史の禍に消えた小国が亡きあと、小国が在った事実や民族や言語を覚え語る者はいない。
……大戦中の民間人の暮らしぶり、大戦以前の文化や風土についてもわざわざ思いを馳せて語りあう者はいない。
……敗者は歴史のシミとなりただ薄まり消えてゆき、いずれは跡形もなくなる。
「いんげんらっぷ!!」
……だから
「『うんげろげっぱ』だって言ってるだろ!!」
思い切り叫ぶと鋼鉄の入り口がガコンと開いた。
「怒んなって……意味不明言語過ぎてさ……ここの合言葉一生覚えられる気がしねー……」
叫んだら、だんだんとどうでもよくなってきた。
「シャワーは水にしろ。今この頭上では遊牧民がベースを作ってる。蒸気や熱を感知されたら後々厄介だ。」
[newpage]
「なあクラウス、この間使った『TSF化』する薬って使えるやつまだある?」
ああ、あの薬品製作所で使ったやつか。
性転換をする雌雄偽異株である魔化的植物のトワイライゴテンナンショウにツキグマノミ科の雄性先熟を掛け合わせた薬品サンプルか。
あれは卵管や陰核等の器官は無く卵子を生じない生殖機能がない見せかけの膣と伸縮性のない小さい子宮を作り出す偽生殖器を作り出す代物。
……つまり男、あるいは子宮のない女に擬似的な性器をがん細胞が侵食するように作り出す『TSF女体化』の薬。
ただ制作者の性癖なのか女の快感を疑似再現することを体験出来たらしい。
「あるけど……まさか俺に飲ませる気じゃないだろうな?」
俺は美形だからそれはそれは美女となるだろう。
しかし、一度性器を作り出すと完全に性器を除去するには打ち消し合う『TSF男体化』の薬を用いて形成外科手術が必要になるだろう。
「オレ……あれ飲んでみたい!!クラウスに◯ンコの処女やるからさ!!」
……馬鹿なのは分かっていたが、ガチで馬鹿だな。
「お前はゲイなのか?性的なズレを抱えているトランスか?あ?」
見ず知らずの男を文字通り女にして辱めるのは何とも思わないが、身近にいる男に◯ンコが出来るのは全然違うだろうが。
「なんでそんなに怒ってるんだよ!!オレだって◯ンコでパコパコして女の快感を知りてーだけだよ!!女の方が……◯ンコで◯ンポをハメられる方が……◯ンポを◯ンコにハメるより気持ちいいんだろ!?」
……コイツ。
「あのなあ!?まだ打ち消して◯ンコを無くす薬が出来てないんだよ!!つまり服薬したらお前はふたなりのままだ!!」
ホルガーに掴みかかると逆に掴みかかられた。
「ってことは薬を作る目処が出来てるってことじゃねーか!!クラウス大先生!!オレ……◯ンコでセックスしたいです……!!」
……クソが。
──ヒコボシサユリノハベラ科
これは真逆の雌性先熟であり、トワイライゴテンナンショウと掛け合わせれば理論上は擬似男性器が生じるはず。
つまり、ふたなりになっている状態なら擬似女性器が消滅は不可能でも、縮小自体はするはずだ。
「……薬品冷蔵庫の右上棚のトワイライゴテンナンショウのサンプル薬がある。飲むか飲まないかは、お前次第だ。」
[newpage]
「薬品が有名な国と襲った薬品製作所に近くて助かったな……丁度物品が手元にあるとは。」
再び襲った製作所を訪れたが、まだ死体は残ったままだったので優先的ではなく泣く泣く放置したままの資料や薬品、物品類を2台の自動二輪車のキャリーに詰めて運び出した。
そして幸運にも薬品研究実験室も地下備蓄塹壕から離れて用意してあったのでありがたい。
直接地下設備と繋がっていたら爆発やガス漏れした場合に困るからな。
「クラウスー……まだか?まだセックスだめか?」
ホルガーは服薬したあとモゾモゾしながら研究実験室をウロウロしている。
まさか本当になんの躊躇いもなく薬液を飲むとは想定外だった。
もし毒液であったなら今頃コイツはお陀仏になり、腐って異臭を放っていただろう。
長年の付き合いならまだしも、出会って1年も経っていないというのに。
「……あの男のように未熟なままの偽子宮だと挿入時に張り裂けて臓器が破れて死ぬぞ。死んでもいいならぶち抜いてやるよ。」
そう言ってもソワソワしているようで、ホルガーは膨らみ途中の乳房や秘裂を指で弄り始めた。
「あっ……乳首スゲ……乳首イきできそ……あっあっ◯ンコの表面ほじくるだけでああっああっ!!」
馬鹿になったブリキの玩具のように股と胸元に手を入れてカクカクと腰を動かしている。
……こっちは真面目に『TSF化』の研究をしてんだよ。
「オナニーは自室でやれ!!殺すぞ!!」
思い切りホルガーの頭に拳骨を振りかぶるとホルガーは「ンギュア!?」と珍妙な叫びをした後は頭を擦りながら個別に分かれた寝室に戻っていった。
……死んでほしい。
なんで女になった男の面倒を見なければならないんだ。
……女のような仕草や身振り手振りをするようになったら殺そう。
女のドルーグシュピーラー、旅の道連れなど必要ない。
弱者に情などをかける世や情勢ではない。
ホルガーが戦場で俺を頼るようになったら確実に殺す。
「……情け容赦など、俺は誰にもかけたりしない。」
[newpage]
「ホルガー、とりあえず……」
三日三晩の間、研究実験室に籠りっぱなしで禄に眠れていないままホルガーの部屋の扉を叩くと強い力で腕を引かれた。
「◯ンコ◯ンポ◯ンコ◯ンポ◯ンコ◯ンポ」
いつの間にか乳房が両手で包み込めない程の大きさにまで膨らんだホルガーが全裸で迫り寄り、自分の背をベッドまで追い込んだ。
「お、落ち着けホルガー……な、落ち着け」
不味い、ホルガーが後天的犬系獣人の血が入っていることをすっかり失念していた。
魔化学が発達してから軍事用に開発された先天的獣人と、魔化学な事象によって人間が獣人化した後天的獣人がいるが、ホルガーの場合はクォーターであるため身体的特徴がほとんど発現していない。
だからこそ猟犬が鳥を追うようにハーピィ化にこだわったのか……いや、ただの性癖かもしれないが。
ホルモンの大幅な変動によりリビドーの均衡が崩れ、本能が剥き出しになってしまったのか。
「◯ンコ◯ンコ◯ンコヤらてやるから◯ンコやるから」
流石に体躯が同じようではいても、若く力が強い獣人の血が入ったホルガーには敵わず、ベッドに無理やり押し倒されると、いとも容易く組み敷かれてしまった。
「待て……ホルガー待てだ。待て。俺でなくとも他の男をレ◯プしてくればいいだろ?な?」
ホルガーは口から涎を垂らして秘部からは愛液をダラダラと垂らしている。
……まさか三日三晩女体化した姿でオナニーしてたのか。
それの答えを指し示すように乳首はピンと勃起し、恥丘も浅黒く色素が沈着している。
「クラウスは処女好き処女やる処女やる」
抵抗しようと腕を伸ばすと脱ぎ捨てられていたシャツで手枷をされてしまい、ホルスターに収納している回転式拳銃『リート』『オーバード』も引き抜かれて部屋の隅に放り投げられると同時に背に刺してあったサバイバルナイフ『リパーナイト』も投げ捨てられた。
そしてファスナーが下げられると萎えた肉棒を鷲掴みされてシュコシュコと乱雑に扱かれ始めた。
「やめろ……後で殺すぞ……」
手婬による雑な愛撫を敏感に感じ取り、萎えたままでいてくれない股間はムクムクと屹立し始めてしまっている。
「クラウスの◯ンポ、クラウスの◯ンポ」
ホルガーは竿を握ったままゆっくりと腰を落とし始めた。
「やめてくれホルガー……」
[newpage]
「ああっああっカリが◯ンコをコスコスしてるっ……ああっああっああっああっヤバいヤバいヤバいヤバい」
年端もいかない女の膣くらい狭い、出来たばかりのホルガーの偽膣は陰茎を咥え込もうと吸い付いてくる。
「殺す……」
そして俺の息子は偽膣を本物の女の膣だと勘違いをしたままで偽生殖器を犯し貫こうとしている。
「あっ◯ンポもハメたい◯ンポ◯ンポ」
ホルガーは自前の肉棒を手婬で扱きながら唸り声を上げた。
「ホルガー……お前……」
最悪最低だ、男であり女でもあるふたなりとも言えない何かに逆レ◯プされている。
何も考えないようにするしか……。
「あ、どうせだから女、拉致してくる。」
「切り替え早いな。」
、、、
「クラウス!!女!!◯ンコ!!◯ンポ!!」
クラウスはおさげ髪に生成りのワンピースをした若い女を連れてくると服をビリビリに破いてベッドに仰向けのままでいた俺の上に四つん這いにさせた。
「あ、どうも……」
女は何か起こったか理解できない様子だが、この女は巨乳なのでまあ……。
「クラウスの◯ンポにオレの◯ンコをハメてオレの◯ンポを女の◯ンコにハメる」
もう何でもいいよ。
ホルガーは女の割れ目を指で開くとガチガチに勃起した◯ンポをハメた。
「ああ……」
女の唇がつきそうになるのを手枷をされている腕で防いだ。
間もなくホルガーの偽膣が再び俺の肉棒を咥え込むと、女の腰を掴みながらデタラメに動き始めた。
「ヤバッヤバッ◯ンコ最高◯ンコ最高◯ンポハメるのもハマるのも最高最高最高すぎぃ……あっあっあっおほっおっ」
偽膣の粘膜は女の膣よりも乾いていて肉襞が無い分膣全体が陰茎の形にフィットするように密着してくる。
ただ、偽子宮から流れ出る愛液もどきは硬質なジェル状でベチョベチョと竿に絡みついて離れない。
「く……そ……」
絶対に男の◯ンコに射精なんかするものか……。
「あっあっあっいっあっいっあっあっ」
女は乳首を俺の乳首と擦りあわせながら豊かな乳房でたゆんたゆんと抽挿に合わせて上下に揺さぶられていた。
「◯ンコ最高すぎぃ気持ちぃ気持ちぃイくぅイくぅおっおっおっ」
ホルガーはピストン運動を上下運動と前後運動を交互に使いこなしてパンパンパンという乾いた音とピチャピチャと粘度を感じる水音を響かせると、あえなく絶頂を迎えた。
「あっ……出たぁ……」
情けない声を合図にホルガーが女の膣に射精すると、同じくらい情けない俺はホルガーの偽膣に精を吐き出し、女は舌を噛んで絶命していた。
「……はぁ、ホルガー……死骸はちゃんと自己責任で捨てて来なさい。」
[newpage]
「あ!クラウス、他にゴミはあるか?捨ててくる間に目一杯レ◯プしてくるからさ!!」
ホルガーは俺の手枷を解くと麻袋に色々と詰め込んで、両手に抱えると外に出ていった。
「自分がレ◯プされる心配を……してるわけないか……」
アイツの実力で犯されるわけが無いし、犯されたら反撃して殺すか、……死んだら終いだ、もう関係ない。
薬品冷蔵庫の棚を整理して、新しい『TSF化薬液』を確認する。
もし俺が指定魔化学物取扱者でなかったら、ふたなりもどきのまま暮らすことになる。
……そもそも、俺が認定資格者でいなければ協共裁判所には立ち入れていないわけで。
「はぁ……」
なんとも言えない気分の落ち込みを感じながら司令官室であった現書斎の革張りの椅子にドカッと座って青黒く冷たい無機質な天井のボルトを数えて、しばらくしてやめた。
久しぶりに庶務机に備え付けられている小物入れ用の棚を上げてチェインニコチアナ・タバスコガスとリコリスガルーダのシャグ……刻みタバコのパッケージを開けてヘンプペーパーで巻き取ると適当にフィルタを嵌め、金属ライターで火をつけて紫煙をフゥッとひたすら吹き出す。
「はぁ……」
それしか言えない電池式のダッチワイフのように、ただただ煙を吐き出した。
「はぁ……」
、、、
「……まだ帰ってこないのか。」
飯時には戻ってくるはずだが、帰ってこない。
犯されたか、殺されたか、捕まったか。
もし兵や部隊に捕まったのならこの場所を口に出しそうなものだが。
……いくら場所を秘密にする口約束とて、所詮は行きずりの赤の他人。
肉親でさえ簡単に騙し貶め陥れるというのに。
……それとも、相棒のような腐れ縁に嫌気が差して出て行ったか。
さもありなん。
「お……雨が振ってきたな。」
鋼鉄で作られた地下施設の配管は排水の音をよく拾う。
「……外の様子でもみてくるか。」
、、、
「な、なにしてんだお前……ずぶ濡れじゃないか。」
外に出ると備蓄塹壕入り口から奥までは洞窟となっているのに激しい雨風が吹き付けて、ずぶ濡れのホルガーが立ち竦んでいた。
フッ、なんだか捨て犬を拾う不良のシチュエーションみたいだ。
……一蓮托生というわけか。
「合言葉が意味不明言語すぎんだよ!!いんけんはっぴ!!」
[newpage]
「じゃ、バイバイ◯ンコ……楽しかったぜ……。」
クラウスが作った『男性化』の薬を飲むと徐々におっぱいが萎んでいき、◯ンコの割れ目がカサブタが出来て中から閉塞感が湧いて出てきた。
これ、ダイエット失敗したデブみたいに肉がベロベロになったりしないだろうな。
「ホルガー……しばらくの間の家事炊事洗濯掃除はお前がやれ。」
クラウスはため息をつきながら資料整理を始めた。
『完全に心身が女になったら殺す』
その心の声だけは本気だった。
あの薬剤師みたいなアベックを襲った時に飲んだ『テレパシーの薬』が母体だった男が死に、次に摂取量が多い母体としてクラウスの心の声が子に当たる俺にだけ一方通行で伝わる事を知ったのは男が死んだ直後だった。
『女は楽に死ねてよかったな』
そう頭のなかに流れ込んできた。
クラウスは『母体が死んだら効果はなくなる』と思っているようだったし、クラウスのプライドの高さから事実を指摘するとオレを遠ざけるより殺すことを選ぶかもしれない。
……そうなったらオレはクラウスを殺すしかなくなる。
今はまだ、殺すには惜しいから。
なるべく機嫌をとってやらないといけない。
このテレパシー薬が一過性のものなのか長期的なものなのか分からないけど、うまく付き合っていこう。
「仕方ねーな!!今日の晩飯はカエルの煮物だ!!」